メインメニュー
Home
☆PanCAN 公式ブログ
パンキャンとは /About us
☆イベント情報 /Events
膵臓がん/Pancreatic Cancer
臨床試験   /Clinical Trials
膵がん専門病院 /Med Ctr
心のケア /Onco-psychology
介護者支援 /Caregiver
患者の声 /Survivor
医療セミナー/Seminar
勉強会 /Study Session
電話相談 /Call Center
専門医に聞く/AskSpecialist 
研究支援 /Res Support
政策提言活動 /Public Policy
ストア/Store
会員募集 /Membership
ボランティア募集 /Volunteer
有益な情報源 /Useful Source
ニュース /News
ニュースフラッシュ/ Newsflash
お問い合わせ /ContactUs
会員コーナー/MembersOnly
FacileForms
[No form id or name provided!]
膵臓がん、静かなる疾患 プリント メール
作者 Administrator   
2008/01/03 Thursday 02:36:37 JST

膵臓がん、静かなる疾患 - ある医師の膵臓がんとの闘いについて

 

デニス・リー医師(消化器内科専門医)
Board certified in Internal Medicine, Gastroenterologist
カリフォルニア州サンクレメンテ市

 

Image

■診断 
初期段階の膵臓がんは、多くのの患者において症状が認識されないため「静かなる疾患」と呼ばれます。私は今年(2007年)の5月25日に膵臓がんと診断されました。そのきっかけとなったのは、年一度の健康診断の血液検査で、肝酵素が少々上昇していたことでした。ALP、GOT(AST)、GPT(AST)が少々上昇していましたが(※)、腹部の痛み、あるいは体重の減少などの症状はなかったため、私も主治医も、楽観的にこれはたんたるコレステロールを抑制するために摂取していた高脂血症薬スタチンの副作用だろうと考えていました。

それでも主治医は完全を期すためにと言って肝臓の超音波検査のオーダーを入れてくれました。その検査で複数の肝臓癌が発見されたため、その日の午後に腹部CTも行いました。画像診断で膵臓の尾部にオレンジくらいの大きさの腫瘍と肝臓には複数の転移を認めました。さらに肝生検の結果、膵臓がんであることが確認されました。



※1:GOT(AST)・GPT(ALT)は、アミノ酸の代謝酵素。肝臓に障害が起こると血中に放出されるため、GOT・GPT値の上昇は、肝内細胞の破壊を示唆する。
※2:ALPは、転移性肝がんも含め閉塞性疾患に関して特異性の高い血中酵素である。


■それはショックでした
膵臓がんの診断が下されたとき、私はすこぶる元気な57歳で、適度に健康的で、新婚ほやほや。(カリフォルニア州)南オレンジ郡(風光明媚な高級住宅地)で盛況なクリニックの消化器内科の専門開業医をしていました。私は妻と一緒に新しい家を購入し、ちょうど造園とインテリアデコレーションに取り掛かろうとしていたところでした。それに私には膵臓がんになるようなリスク要因はひとつもありません。アルコールは一切口にしません。タバコも吸いません。私の両親、親戚には膵臓がんになったものはいません。糖尿病になったこともありません。かなり激しい運動をほぼ毎日やっています。週に4日は好きなテニスをし、週に1、2回は筋力トレーニングに励んでいます。健康的な体重も維持しています。皮肉なことに、今年の春から膵臓がん予防法というトピックについて調査してきました。医療ネットの読者向けに記事を書くために聴講した講義ですが、膵臓がん専門医は膵臓がんは主膵管の小さな病変(PanINs)とか特定の嚢胞(のうほう)(IPMN/MCN)から出現するため、早期発見と疾患部および嚢胞の切除により膵臓がんを防ぐことは可能だと説明していました。そのような調査をしていたときにこの悪い知らせがありました。


■さらなる悪い知らせ
私のがんの診断が下される一週間ほど前のこと、テニスをしていてSOB(息切れ)に気がつきました。その週はとくに夜間当直をしたり、オフィスクリニックでも多忙を極めていたこともあり、この軽度の症状は仕事の疲労が原因だと考えていました。しかし、CAT検査の2日後、階段を上るときにも息切れを覚えました。私は放射線科の先生にお願いして、再度読影してもらいました。そこで肺動脈に血栓を認めました。肺の血栓は、肺塞栓症(はいそくせんしょう)といって、突然死など重篤な結果を招くこともある、膵臓がん患者によく見られる合併症です。即入院することになり、新たな血栓の形成を防ぎ、血栓を溶解するための療法を受けました。入院中の検査で、生まれて初めて糖尿病と診断されました。肺塞栓症と糖尿病は、膵臓がんが産生する物質が引き金となって起こる疾患です。1週間の間に健康でアクティブな医師から、肺塞栓症と糖尿病という合併症に苦しむ膵臓がん患者に変貌するということは決して楽しいことではありません。


■治療方法は?
大多数の膵臓がんはかなり進行した状態で発見されるため(ふつうは診断時に他の臓器への転移がある)、ほんの一握りの幸運な人だけが外科的切除によって完治します。したがって、大抵の膵臓がん患者の予後はよいとはいえず、治療も一般的には効果的ではありません。これらの患者の生存期間は年単位ではなく月単位で計られています。


 CTスキャンの結果、肝臓転移が判明したことから、私は外科療法の対象にはならないと考えていました。したがって、USC Norris Cancer Centerの腫瘍専門医が化学療法を勧めてくれたときも驚きはしませんでした。私を担当する腫瘍専門医、Dr.LenzはUSCで消化器がんの臨床試験を運営する傍ら、現役の開業医でもあります。私はゲムシタビン(ジェムザール)の注入を毎月曜日に2投1休のスケジュールで受けるとともに、エルロチニブウ(タルセバ)とカペシタビン(ゼローダ)の経口剤を毎日摂取しています。ジェムザール注入の後の数日間は、やはり疲労、吐き気、微熱に悩まされました。タルセバの副作用では足の裏が乾燥し、ひび割れもしました。また、ゼローダの副作用で口のなかが絶え間なく痛みました。そのほかの点では、気分は良好です。体調もよく、ジェムザールが休みの週は平日、普通の仕事のある週は週末にテニスができるほどです。


■膵臓がんの治療への反応
私の膵臓がんは、化学療法に大変よく反応しています。過去5ヶ月間に3回のCT検査を受けましたが、すべてのCTにおいて肝転移したがんが縮小していることが認められました。肝転移がんの縮小と同時に血液肝酵素も正常値まで回復しました。治療経過をモニターする他の方法として、CA19-9 のような腫瘍マーカーの血中レベルも測定しています。


担当の腫瘍内科医は私の治療経過に大変満足しています。化学療法によって膵臓がんが縮小することはありますが、しかし一般的ではありません。担当医によれば肝転移のある膵臓がん患者でテニスする人もそう多くはないとのこと。問題は、化学療法の反応が持続可能かどうかという点で、それは時間がたってみないとわからないと担当医は注意を促した。抗がん剤がよく効いた多数の患者でも、抗がん剤への耐性ができたためにがんが再発することがあるからです。


■希望はある
私と妻は、先週末パンキャン(PanCAN)主催のシンポジウムに参加しました。パンキャンは、政府に膵臓がんの研究予算を増額するよう働きかけ、自ら補助金をつけて研究者を支援し、膵臓がん患者・医療従事者をサポートし、教育プログラムを提供するボランティア団体です。参加したシンポジウムでは、長年にわたって膵臓がんサバイバーであるという多くの参加者に会うことができ驚かされました。また、パンキャンのボランティアの人々のエネルギーと熱意には感動しました。

 

シンポジウムでは、大勢の若い優秀な科学者たちが膵臓がんの予防と治療に取り組んでいること、新しい抗癌剤の開発も進められていること、また、抗癌剤副作用は抑えながら効果を高めるような新しいデリバリー方法の研究も紹介されました。ある消化器専門医たちは超音波内視鏡(EUSという超音波と内視鏡を組合せ手技)を使い、抗癌剤を直接膵臓がんに注入するテクニックを研究しています。また、ある放射線科医たちは、隣接する組織に損傷を与えることなく腫瘍を破壊するコンピューター制御による放射線療法や温熱治療などを研究しています。あらゆるタイプのがんに対する治療法も向上しています。


■本当の気持ちは?

私の家族、友人、同僚、看護婦、そして、多くの患者から寄せられた溢れるばかりのサポートは本当にすばらしいものです。大勢の人は私のために毎日お祈りを捧げてくれます。私の妻、家族、そして友人のお陰で、一度たりとも孤独、乖離している、悲しいなどと感じたことはありません。充実した毎日をすごしています。専門誌の記事、医者としての過去の経験からいえば私の予後はよくはないと理解しています。それでも、私を支える小さな秘密をお教えしましょう。テニスマッチは5セット目、それもタイブレーカーで決まると信じています。そして勝つのは自分だと。

 

家族と愛犬ファビオとでまだまだやらなければならないことがたくさんあります。ファビオという、新しく家族の一員になった、重さ15キロの白いプードルで、私の人生に喜びを与えてくれる存在です。

 

 


最終更新日 ( 2008/06/25 Wednesday 00:38:54 JST )
 
< 前へ   次へ >