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| AACR: 膵臓がん幹細胞の発見 |
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| 作者 Administrator | |
| 2008/06/19 Thursday 09:59:53 JST | |
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2007米国癌学会 (AACR): 膵臓がん幹細胞の発見
がん細胞は、正常な細胞と比較すると高い増殖能力を持ち、隣接臓器を浸潤し、離れた部位へ転移する能力も持つとされている。しかし、ヒトやマウスにがんを発生させる能力がある細胞は限られている。その能力を有する一部のがん細胞は、幹細胞の特徴である複製能力と多分化能力も備えていることから、この幹細胞のようながん細胞からがんが発現、進行するという仮説が提唱されるようになった。その後、乳がん、大腸がんを含むさまざまなタイプのがん幹細胞が発見されてきた。
2007年、ミシガン大学の研究者は、初めてヒトすい臓がん幹細胞を同定した。彼らはこの幹細胞はがんの特徴である侵攻的な転移、進行、増殖に関与していると説明した。2月1日号のCancer Researchにおいて、試験に使われた半数のマウスにおいて、ヒト膵臓がん細胞を増殖するために必要な幹細胞数が僅か100であったと報告した。この細胞は、膵臓がん幹細胞の特徴である3種類のプロテインマーカー(CD44+, CD24+, ESA+)を持たない細胞と比較し、腫瘍原性(Tumorgenicity) が100倍強いことが判明した。膵臓がん幹細胞の発見はがんの根源は幹細胞であるという仮説を強く支持するものである。
「この発見は、5年生存率が僅か3%という、主要ながんのなかでもっとも予後の悪い膵臓がんの新しい治療を開発するうえで大いに役立つ」と分子・統合生理学および外科の准教授Diane M. Simone氏は語った。「分離され幹細胞は、ヒト膵臓がんの数百万からある99%の他のがん細胞とは大きく異なる特徴があり、予備調査によると、化学療法あるいは放射線療法のような標準治療は、幹細胞には奏効しない可能性がある」とSimone氏は指摘した。もし幹細胞が膵臓がんの治療を困難なものにしている原因だとすれば、新しいアプローチとは通常の幹細胞の機能を妨げることなく膵臓がん幹細胞を特異的に標的とした薬剤を開発することかもしれない。そのような薬剤はいままで開発されてはこなかったが、この研究はそれが可能であることを示唆しているとSimone氏は加えた。
この研究は、幹細胞はいくつかのがんの、あるいはすべてのがんの中心に存在するとした新しい概念を前進させるものである。この説は、自己複製と他の種類の細胞へと分化できる多分化能力をもつ、幹細胞性(stemness)の細胞のみが腫瘍を発現させることができることを意味している。これらの幹細胞は、臓器内の正常な成人幹細胞の突然変異あるいは分化した細胞が発展し幹細胞の能力を備えたことから派生した可能性がある。ある研究者によると、急速に増殖するがん細胞を目標として開発された従来の治療に対し、急速には分裂しない幹細胞は耐性があるという。そのため腫瘍が縮小した後でも残存し、再発と転移に関与すると考えられている。
「当研究は、少なくともこれらのコンセプトのひとつを裏付けた」と研究者は語った。「我々の研究は、ヒト膵臓がんの一部の細胞が、がんを成長・増殖させることができる幹細胞のような特性をもつことを同定した」。
膵臓がんのなかの幹細胞を探すために、研究チームは手術を受けた患者の膵臓から摘出されたがん組織を、免疫力が低下した異種移植(xenograft)マウスに移植し、腫瘍が増大した後がんを取り除き、数百万ある細胞のなかから細胞表面に3種類のプロテインマーカー(CD44,CD24,ESA)を有する少数の細胞を分離した。細胞接着分子(cell adhesion molecules:CAM)と呼ばれるこれらのマーカーを選択した理由は、最近研究共著者であるミシガン大学Max Wicha氏とスタンフォード大学医学部Michael Clarke氏によって乳がんにおいても同様のマーカーを有する幹細胞が発見されたことによる。研究者は100個の各マーカーを有するがん細胞をマウスに移植したところ、一部のマウスにおいてがん細胞の増殖がみられた。3種のマーカーを有するがん細胞は、12匹中6匹のマウスにおいて腫瘍を発現させた。より多くの細胞を移植することにより、100%の確率で腫瘍を増殖させることができるとSimone氏は語った。
これらのがん細胞は、膵臓がんの生物学を忠実に反映し、非常に腫瘍原性が高い。さらに高悪性化した膵臓がんの細胞を移植して得られたマウスの腫瘍は患者から直接切除された腫瘍に外観が非常に類似していたとSimone氏は指摘している。膵臓がんの幹細胞とされている細胞からは多様な細胞の混合コロニーが産生され、ヒト膵臓がんにあるようにがん化していない細胞も含まれていた。また、非常に悪性度の高い膵臓がんのサブタイプのマーカーは、悪性乳がんにみられるマーカーとも完全に一致しないことも判明した。ひとつのマーカー、CD24にその違いはあった。Simone氏によると乳がんではCD24は陰性だが膵臓がんでは陽性だという。この研究は、異なる臓器のがん幹細胞にはCD44 ,CD138など共通のマーカーが存在するかもしれないが、各々の腫瘍がん幹細胞が特異なマーカーセットをもつ可能性を示唆している。
Editor’s note: 米国では、膵臓がんの抗がん剤治療が一部の患者に効く反面、多くの患者に奏効しないことが問題となっている。ミシガン大学の研究者は、抗がん剤は膵臓がんの大部分を占める分化したがん細胞だけに効いている可能性を指摘した。がん細胞を除くことにより進行を一時的に止めることはできても(Stable Disease: SD)、ごく少数の幹細胞の機能をもつがん細胞が生き残ることにより再度進行がん(Progressive Disease: PD)になるという。がん幹細胞を標的として除去することができれば、がんの進行をとめ、転移や再発の防止にも有用な治療法の開発につながると期待されている。
Translator’s note: ESA= Epithelial Specific Antigen (上皮特異抗原) Source: AACR News Release: Scientists Identify Pancreatic Cancer Stem Cells, February 1, 2007 |
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| 最終更新日 ( 2010/04/01 Thursday 16:33:20 JST ) |
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