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| AACR: KRAS遺伝子の信号伝達回路に関する研究 |
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| 2008/06/20 Friday 12:15:38 JST | |
米国癌学会(AACR)レポート: KRAS遺伝子の信号伝達回路に関する研究2008年4月15日
第99回米国癌学会(AACR)はサンディエゴコンベンションセンターにて4月12日から16日まで開催された。ポスターセッションにおいて東京女子医科大学教授 古川徹氏が発表した「KRAS遺伝子の信号伝達回路に関する研究」についてお聞きしました。- KRASという発ガン遺伝子は、膵臓がん患者の90%以上に変異がみられるため、いま一番注目されている遺伝子ということですが、その一方でKRAS経由でがん細胞の増殖を抑制することもまた難しいと言われているようですが。。。 (古川) 膵臓がんは、ラスマップカイネース(RAS MAPK)という信号伝達経路がものすごく重要な働きをしています。なぜ信号伝達経路かといいいますと、いま「分子標的治療薬」というのが「がんの治療薬」では最先端のもので脚光を浴びています。そういう新しい薬をつくるために、その材料をどこからとるかということになるのですが、信号伝達経路が一番鍵となるところなのです。そこにフォーカスして、薬をデザインするのがいいのではないかというところからこの研究を始めました。 信号伝達経路にはいろんなステップがあるのですが、私がやっているのはその一番下のステップになるところです。そこはものすごくがんとしてのいろんな形質を発達させるための遺伝子がたくさん動いているところなので、そこをフォーカスして、ターゲットを絞って膵臓がん特有の薬を開発しようとしています。 (Editor's Note: 伝達信号は上流から下流へと送られ、その経路は複数あることが確認されている。上流で信号の伝達を阻害しても他の経路で下流へ伝達されるために効果がでにくい。従って、一番信号が収束する部分は阻害しやすく、しかも副作用も少なくてすむという。) MAPK (マップカイネース)リン酸化抗酸はがんのなかで非常に重要な働きをしています。そのスクリーニングをしていますが、ターゲットとなるものは沢山あります。それらを全部調べていって、薬として有用ものを選んでいきます。現在もやっているのですが、薬として有望なものがいくつかとれてきているということです。これをもとにして、新しい薬をデザインして、膵臓がんに特異的なものを作っていくという仕事をしています。 - この図には4つのターゲット(標的分子)がリストされていますが、これらはがんの抑制効果が高い順に選択されているのでしょうか? (古川) それぞれのターゲットには実際の分子の名前もありますが、それはパテントの関係でだせません。分子にもいろいろなものがあって、いろいろな効き方をしています。ターゲットがあって、効き方もいろいろと違うので、それらをデザインしていけば、いろいろな患者さんにあわせて使えるものができてくるのではないかと考えています。 (Editor's Note: 膵臓がんのタイプにあわせて組み合わせるオーダーメイド化学療法) - ひとつ、あるいはいくつかの分子標的薬を組み合わせて使うというコンセプトですか? (古川) この図ではたまたま4つのターゲットをあげていますが、ひとつ、ひとつはいろいろな形で効いてくる薬になるので、実際にはそれを組み合わせて使えればいいのではないかと思います。 今回膵臓がんのセッションがありましたが、そこの話を聞いても、やはりいろいろなところをターゲットとして、それぞれを抑えていかないと、なかなか膵がんを効率よく治療することができないのではないかという意見でした。そのようなアプローチをするのがいいのではないかと考えています。 - この図2にありますコロニーフォーメーションアッセイでは何を調べているのですか。 (古川) これはターゲットを抑えたときにがん細胞がどれだけ生き延びられるかという実験なのですが、生き残っているがん細胞が少ないので、かなり効果が認められるという結果がでています。 (Editor's Note: コロニーフォーメーションアッセイとは培養液にがん細胞のコロニーを培養し、阻害分子を標的とした薬剤を使い、がん細胞の増殖を抑制する作用があるか調べる方法です) - こちらの図4ではマウスでの実験をされているのですか? (古川) ターゲットによっては、InVitroというか培養系では効かないものでも、InVivoというか生体系にいれると効いてくるものもあるということを示しています。このなかには、いろんな段階、いろいろなステップのものが沢山あります。薬になるものが沢山あるということです。そこからひとつひとつ薬を作っていって、それを組み合わせれば、非常に効率よく薬がつくれるのではないかと思います。 - こちらの図についてご説明いただけますか? (古川) この図5は、がん細胞と正常細胞に対する効果を比べたものです。がん細胞では非常によく生存とか成長とか抑えられているのですが、正常細胞ではそれほど抑えられていないということで、がんに特異的な治療薬としてできるのではないかと思います。 ー このような分子標的薬はいつごろ治療薬として市場に投入されるのか知りたいところですが、臨床試験にもっていくにはこの後どのようなステップがあるのでしょうか。 (古川) ターゲットが決まってきていますので、それに対して実際に薬になるものをスクリーニングしなければなりません。いろいろな化合物とかをスクリーニングするというステップが次の段階になります。ターゲットに効く化合物が決まったらすぐに薬になるのかというとそうはならないと思います。 - 最近、膵臓がんの信号伝達経路で注目されているヘッジホグ(Hedgehog)伝達経路のシグナルをブロックするサイクロパミン(Cyclopamin)という化合物がありますが、水に溶けにくいという性質から薬として使うためにはまだ課題が残っているという話を聞いたことがありますが、スクリーニングされた化合物を薬にするためにはさらなるステップがあるということでしょうか。 (古川) ものによってはそういうことがあるということですね。そのようなステップをひとつひとつ踏んでいくことによって実際に使える薬がとれると思います。やはり数年の単位になると思います。 - KRAS遺伝子異常についてですがKRAS遺伝子の異常をリバースさせるということはできるのでしょうか。 (古川) そこを抑えるとか、そこを止めるということはできるのではないかと思います。 - KRAS遺伝子の異常は膵臓がん患者の90%以上にみられるということですが、膵管の病変を早い段階で発見できるようなバイオマーカーを作ることは可能でしょうか。 (古川) このなかでマーカーとして使えるものも含まれていると考えられます。実際にヒトの膵臓がんでどれくらい発現しているのかを調べていくと、かなり特異的に発現しているものが多いので、患者さんの血清であるとか組織をとって調べればわかるということもあるでしょうし、そういう可能性もありますね。マーカーとしてなんとか使えるところをとろうというところですね。 -先生は米国癌研究会議(AACR)に来られるようになって今年で12回目ということですが、今年のAACRで注目された点についてお聞かせくださいますか。 (古川) 今年は、膵臓がんに関連する演題が多かったと思いましたし、セッションも膵がんにフォーカスをあてたものもありましたし、全体的に膵臓がんの演題に関するものが多かったと思います。いろいろな意味で研究が進んでいるというところであるとは思います。この学会は基礎系の学会ですので、基礎的なデータが多いのですが、そのようなものから薬の開発につながってくるので、そういうところで研究が進んでいるということは、そうなかから将来的には膵臓がんの治療薬が生まれてくるわけですから大いに期待できると思います。 - 膵がん患者のために研究の成功を祈っております。本日はお忙しいところどうもありがとうございました。 REFERENCE: (聞き手:眞島喜幸) |
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| 最終更新日 ( 2010/05/24 Monday 18:52:04 JST ) |
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