海外ニュース:Penn大学の研究は免疫療法に敏感な膵臓がんの秘密を明らかにする

2018/11/21

by Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania

■膵臓がんと免疫療法の感受性について

ペンシルバニア大学の研究者らは、腫瘍の免疫療法感受性は個々の細胞に特異的な因子によって制御されていることを明らかにしました。 T細胞で満たされた「熱い・ホット(HOT)」な腫瘍細胞は、T細胞が少ない「冷たい・コールド(COLD)」な腫瘍細胞よりも免疫療法に対して敏感であることは知られていましたが、理由はよくわかっていませんでした。 Penn MedicineのAbramson Cancer Center(ACC)の研究者チームは、免疫療法の感受性は個々の癌細胞に特異的な因子によって制御されることを発見しました。

腫瘍は成長するために免疫系を回避する必要があります。これは、限られた数のT細胞を有するCOLDな腫瘍として成長するか、T細胞を使い果たすことによってHOTな腫瘍として成長する方法になります。どちらの方法も、免疫系による破壊から腫瘍細胞を保護するのに効果的です。膵臓腫瘍は、T細胞浸潤のスペクトラムをカバーすることが知られています。研究者らは、マウスモデルに由来する一連の膵臓腫瘍細胞株を作成しました。機能的な免疫系を有する正常マウスに腫瘍を移植すると、それはHOTとCOLDなカテゴリーの腫瘍に自然に発展しました。HOTな腫瘍が多く、優性型として浮上しました。チェックポイント阻害薬を投与した後、HOTな腫瘍を有するマウスの半分において腫瘍退縮が明らかになりました。抗CD40アゴニストの添加により効果はさらに増強されました。 GAFCPと呼ばれる化学療法と免疫療法を組み合わせた治療を受けたHOTな腫瘍のあるマウスは、6ヶ月間生存しました。しかしながら、COLDな腫瘍を有するマウスでは、この治療で退縮はみられませんでした。

■HOTな腫瘍とCOLDな腫瘍

T細胞で満たされた、いわゆる「熱い・ホット(HOT)」な腫瘍は、T細胞が少ない「冷たい・コールド(COLD)」な腫瘍と比較して免疫療法に対してより敏感であるとしばしば考えられていますが、その理由はこれまで癌生物学者にも明確にはわかりませんでした。 Penn MedicineのAbramson Cancer Center(ACC)のチームは、腫瘍がHOTかCOLDかは癌細胞自体に埋め込まれた情報によって決まることを発見しました。Immunityに発表された最新の研究では、研究者らは「腫瘍の均一性」、すなわち癌細胞が動いたり、複製したり、転移したり、治療に反応したりする能力の役割を調べました。これらの新しい知見は、腫瘍専門医が患者独自の腫瘍の組成に合わせて治療をより正確に調整するのに役立ちます。

Penn Medicineおよび他の研究施設による最近の研究は、T細胞が腫瘍に引き付けられる程度はその腫瘍に特異的な遺伝子によって調節されることを示唆しています。ペンシルバニア大学のPerelman School of Medicineでの発生生物学および胃腸病の教授であるBen Stanger医学博士は、「免疫細胞を標的にしたことが多くの癌患者にとって有望な結果をもたらしたことに異論はありませんが、すべての人にこれらの治療が奏功するわけではありません。」と述べています。「すべての腫瘍は異なるため、より多くのがん患者を治療するためにも、腫瘍細胞の根底にある生物学をどのように使用するかについて調査しています。」 と語ったStanger博士はACC膵がん研究センターのディレクターも務めています。

膵臓がんは、米国では2025年までに癌死亡者数の第2位になると予測されています。

腫瘍の多様性の一部には、癌性腫瘤の一部になる免疫細胞の量と種類が含まれます。増殖するためには、腫瘍は免疫系を回避する必要があります。これは2つの方法で起こります。限られた数のT細胞を持つCOLDな腫瘍として、またはT細胞を使い果たすことによってHOTな腫瘍として発達し、患者の免疫システムによって効果的に破壊から身を守ります。

膵臓腫瘍は、T細胞浸潤のスペクトラムに及ぶが、この異質性の基礎はよくわかっていません。この研究では、Pennチームは、膵腺癌のマウスモデルから膵臓腫瘍細胞株のライブラリを作成しました。これらの細胞株を有効な免疫機能を持つ正常なマウスに移植すると、COLDとHOTな腫瘍に成長しますが、COLDな腫瘍が優勢なタイプとなりました。さらに、腫瘍がHOTかCOLDかによって、患者が免疫療法に反応するかどうかを決定することを見出しました。

■チェックポイント阻害剤と化学療法

HOTな腫瘍を有するマウスの半分は、チェックポイント阻害薬による治療後に腫瘍縮小を経験しましたが、その効果は抗CD40アゴニストの併用、併用化学療法、またはその両方によって増強されました。HOTな腫瘍を有し、GAFCPと呼ばれる化学療法および免疫療法の組み合わせで治療された26匹のマウスのうち、20匹は6ヶ月以上生存しており、この療法に対する持続的な反応を示唆しています。対照的に、COLDな腫瘍を有するマウスでは、いずれもこの治療後に癌を治癒しませんでした。

編集注:CD40は、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)スーパーファミリーのメンバーである細胞表面分子で、免疫活性化を広く調節し、そして腫瘍のアポトーシスを仲介します。

■COLD腫瘍とCXCL1因子

この現象の分子的基礎を理解するために、チームは骨髄性細胞を引き付ける可能性があるCOLDな腫瘍によって放出される因子を探しました。彼らは、COLDな腫瘍細胞がCXCL1と呼ばれる化合物を作ることを発見しました。そして、それは免疫を抑制する骨髄細胞に腫瘍組織に入るように合図し、そしてT細胞に腫瘍組織に入らないように合図します。これはやがて免疫療法への感受性を下げることに繋がります。逆に、COLDな腫瘍のCXCL1をノックアウトすると、T細胞浸潤および免疫療法に対する感受性を促進しました。

チームが作成した細胞株は、免疫細胞の種類を含む膵臓腫瘍の特徴的なスペクトルを模倣しています。将来的には、これらの腫瘍細胞株は、異なる状態の腫瘍異質性を有する患者のサブセットに対する治療法をさらに特定し、最適化するのに役立つ可能性があります。

Source: https://www.pennmedicine.org/news/news-releases/2018/june/penn-study-reveals-secrets-of-hot-and-cold-pancreatic-cancer-tumors

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――※日本の膵癌患者にアメリカと同じように、ゲノム検査は標準療法が終わる前、診断時に、また、ゲノム医療も標準療法と同じようにファーストライン治療として、正しいタイミングで届けるために活動していきます。米国の膵臓がんゲノム検査・ゲノム医療の専門家を招聘し、専門医にアメリカの状況を説明してもらう予定です。いま、そのために必要な活動資金を集めています。膵癌撲滅基金にぜひご寄付ください。皆様のご支援をお待ちしております。

膵癌撲滅基金はこちらから → https://bit.ly/2WxLNge

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