特に膵臓がんを発症するリスクが高い人にとっては、
スクリーニングと遺伝子検査は命を救う

By Dr. Diane Simeone

2019年3月15日

ダイアン・シモン(Diane Simeone)博士は、早期発見、危険因子、そしてあなたができることについて語りました。「膵臓がんの評判は悪く、ひどい病気ですが、ほとんどの人は早期発見が役立つことができる方法があることに気づいていません。」シモン博士は「まず、ご自身の発病リスクを知ってください。あなたの主治医に、徹底的に家族歴の診断をするようにお願いしてください。あなたの家族の中で1人以上の人が膵臓がんにかかったことがあるならば、あなたは生殖細胞系列検査※であなたのDNAを調べさせるべきです。生殖細胞系検査の費用は過去数年間で急落しました。それが健康保険でカバーされていない場合、自己負担の費用は現在米国では約250ドル(約3万円程度)です。関連する遺伝子の突然変異が体のすべての細胞に存在するかどうか、血液検査で確認できます。」と説明します。

生殖細胞系検査は、あなたの発病リスクが十分に高いかどうかを明らかにし、毎年スクリーニング検査(MRI、あるいはEUS超音波内視鏡検査)を受けるべきか教えてくれるでしょう。膵臓がんのリスクが高いことを示唆するBRCA遺伝子の1つが陽性である場合は、さらなる検査を検討する必要があります。より高いリスクの別の徴候は、一家族における黒色腫および膵臓癌の存在です。

リスク付与に関する遺伝子の重要性をみなさんは過小評価する傾向があります。あまりにも多くの人々が遺伝子スクリーニングを誤解しています。それらの人は、BRCA遺伝子の突然変異はユダヤ系の人々にのみ一般的であり、また、乳がんと卵巣がんだけが関連していると考えています。実際、BRCA遺伝子変異は多くの民族グループに存在し、乳がんや卵巣がんだけでなく膵臓がんのリスクも大幅に高めます。

ニューヨーク市で私が運営している膵臓がんクリニックでは、すべての膵臓がん患者に対して生殖細胞系列の遺伝子検査を行っています。その結果、患者の15%が、膵臓がん発症リスクに寄与する生殖細胞系列の突然変異を持っていました。それを知っていることは、私たちが治療を選択、調整するのを助け、そしてより高い発病の危険にさらされているかもしれない兄弟とか子供を識別するのを助けます。

私のクリニックに来た膵臓がん患者の半数には、既知の危険因子を特定できません。私たちがコントロールできる危険因子には、喫煙、飲酒、肥満、2型糖尿病などがあります。

現在、膵臓がんは比較的まれな疾患ですが、米国の癌死亡者数では第3位となる死因です。我々はそれを変えることを目指しています。危険にさらされている人々を助けることができることを医療者は知っていますが、予防と早期発見は不可能であると、ほとんどの人々が考えている場合、それははるかに困難です。

高リスクの人のスクリーニングは実証された価値があります。新しい調査によると、誰かをスクリーニングして何かを見つけたら、手術を行える確率は80〜90パーセントになるということです。症状が現れるまで医療施設で検査を受けない人のほとんどは、救命となる外科治療を受けることができません。外科的切除なしでは、長期生存の見込みはほとんどありません。すべての患者にとって、5年生存率はわずか9パーセントです。dしかし、新しい化学療法レジメンにより患者の予後が改善され、膵臓がんサバイバーが誕生してきました。臨床試験で転移性膵臓癌を患っている少数の患者では長期生存が認められています。

もちろん、もっと効果的な治療法をより早く患者さんに届けるためには、このがんをより早期に発見するためのより多くの手段と、より優れた臨床試験が依然として必要です。製薬会社はこの病気のための新しい薬を見つけようとしています、しかし、しばしば企業は臨床試験の始め、中間と終わりに必要な腫瘍生検、ゲノム検査の代金を払わないでしょう。これらの生検は、特定の薬が効いているのか、そうでないのかを知る唯一の方法です。

膵臓がんは大変タフな癌であり、十分な研究者が膵臓がんの研究に参加することを望んでいるわけでもなく、また最近までがん研究の助成金もあまりでていませんでした。知名度の高い患者の症例は、この疾患に注目を集めるのに役立ちますが、2009年に膵臓がんの手術を受けた米国最高裁判所判事であるルース・ベイダー・ギンズバーグ氏(Justice Ruth Bader Ginsburg)のような症例を覚えておくことも重要です。彼女の場合は、通常のCTスキャン中に膵臓がんが発見されました。

リスクが高い人は、スクリーニングとゲノム検査が自分たちの命を救うのに役立つことを知っておくべきです。

Diane M. Simeone博士は、ニューヨーク大学Langone Healthの膵臓がんセンターの所長です。また、膵臓がんアクションネットワーク(パンキャン本部)の科学医学諮問委員会の委員長も務められています。

 

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※編集注:


1.腫瘍組織(体細胞遺伝子変異

がん細胞だけに生じている遺伝子変異の検査です。生まれた後に、人生を通して起こる細胞の変化の一種で、体細胞変異として知られています。専門医は、腫瘍組織の一部を生検し、検査することによって癌細胞の特徴を調べることができます。このプロセスはゲノム検査(体細胞変異検査)として知られています。ゲノム検査は、分子標的治療法などの治療の選択肢を決定する際に手がかりを提供することができます。

腫瘍細胞の検査は癌細胞の遺伝子異常についてのみ調べます。腫瘍に特定の特徴(MSI-H、TMB、またはALK/NTRK/ROS1などの融合遺伝子変異)があるかどうかを判断するためにコンパニオン診断という腫瘍検査が行われることがあります。これは、がんが特定の治療法による治療に対してより影響を受けやすい、感受性が高いことを示しています。

 

2.生殖細胞系列遺伝子変異の検査

生まれながらに持っている遺伝子変異の検査です。この遺伝子の変化は遺伝するため体のすべての細胞にみられます。これは生殖細胞系列遺伝子変異と呼ばれ、この遺伝子情報は、生涯に特定のがんを発症するリスク判定のために利用されます。女優のアンジェリーナジョリーが、予防的治療を決めるために利用した遺伝性乳がん卵巣がん症候群に関するBRCA遺伝子検査などが代表的です。

がん細胞の突然変異を調べるためのゲノム検査は、生殖細胞系の突然変異、すなわちBRCA、PALB2、ATM、CHEK2など、出生時に存在し、乳がん、卵巣がん、膵臓がん、そして他の癌のリスクを著しく高める遺伝子の遺伝的突然変異を見つけるために用いられる遺伝子検査とは異なります。

通常の腫瘍細胞に見られる体細胞変異は、どちらの親からも受け継がれ、各細胞に存在する生殖細胞系列変異とは異なります。生殖細胞系検査は、腫瘍組織の生検に対して行われるゲノム検査とは異なり、血液または唾液に用いて行われます。

生殖細胞系列および腫瘍検査によって提供される情報は重複する可能性があります。例えば、遺伝性のBRCA突然変異を持つ癌を患っている人は、腫瘍細胞にも同じ突然変異が見つかります。がんの種類に応じて、腫瘍と生殖細胞系列の両方の検査が治療の選択を助けるために用いられることがあります。

 

(Source:Science-Let's Win Lustgarten Foundation)
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<免責事項>この医療記事は、最新のサイエンスを紹介する目的で書かれています。特定の治療法や薬の使用を推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このウェブサイトの情報を利用して生じた結果についてPanCANJapanは一切責任を負うことができませんのでご了承ください。

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