医療ニュース

■医師数抑制見直し定員増へ 地域医療、崩壊危機に 医師不足対策Q&A

政府は各地で深刻化する医師不足の解消に向け、医師数を抑制する従来の方針を見直し、大学医学部の定員を増やす検討を始めました。

Q 医者の数は減っているの?

A 現状では毎年約7700人の新たな医師が誕生しています。厚生労働省の試算によると、退職した人数などを差し引いても毎年3500―4000人のペースで医師数は増え続けています。

Q それでも足りないってこと?

A 救急や産科、小児科などで医師が足りず、廃院や休診に追い込まれる「地域医療の崩壊」が全国各地で問題となっています。へき地や離島では以前から医師 確保に苦労してきましたが、最近は都市部でもそうした傾向が目立ってきました。救急搬送の受け入れを拒否される「たらい回し」も勤務医不足が主な要因とさ れています。

Q 事態が深刻化した理由は。

A 多くの医療関係者が指摘するのは、2004 年に導入された臨床研修制度の影響です。大学を卒業した医師が、症例が多く待遇も良い都市部の民間病院などを研修先に選ぶようになり「大学病院離れ」が進 みました。その結果、これまで地域医療を支えてきた大学病院からの派遣医師が減り、地方の医師不足が一気に加速したといわれています。

Q これまでの取り組みは。

A 政府も医療現場の医師不足状態を認め、07年夏には臨時医師派遣や暫定的な医学部定員増などの緊急対策を打ち出しました。ただ、地域や特定の診療科での偏在が問題であって、医師の総数については将来的に過剰となるおそれがあるとして、1982年から続く医師数抑制の方針自体は変えませんでした。

Q 今後はどう変わる。

A 政府は「医学部定員の削減に取り組む」と明記した97年の閣議決定を事実上撤回し、定員を増やす方針を決めました。しかし、医学部1年生が教育、研修を経て医師として活躍するには約10年を要するので、医師不足への"即効薬"にはならないようです。

Q それまで医師不足は解消しないのでは。

A 短期的な対策として政府は、地方の病院を希望する研修医が増えるよう臨床研修制度を見直すとともに、宿直が多い勤務医の過酷な労働環境の改善や、女性 医師が結婚、出産後も仕事を続けられる環境整備に努める方針です。一方で患者側も、軽症なのに休日・夜間の救急外来を利用するといった人が増えていること が医療現場を疲弊させている実態を理解し、地域医療をともに支えていく意識を持つことが求められそうです。

(情報元:共同通信社 2008年7月1日)

https://www.cabrain.net/news/article.do?newsId=16863

■WORD解説■ 「臨床研修制度」とは

2004 年4月1日にスタートした新たな臨床研修制度で、専門分野だけに偏らない幅広い分野の基本的臨床能力を習得することを目的として、2年間の臨床研修が義務 化された。内科・外科・救急部門など、さまざまな臨床分野での研修を実施することが必修。また、研修医の受入れサイドの施設基準(研修医の定員、指導医の 条件など)の明確化も行われている。

厚生労働省 「新たな医師臨床研修制度」のHP http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/rinsyo/

■医学部定員、過去最大程度に-骨太方針08

政府は6 月27日の臨時閣議で、「経済財政改革の基本方針2008」(骨太の方針2008)を決定した。骨太方針06で掲げた歳出削減の堅持を明記する一方、焦点 の社会保障では、医師不足の解消や病院勤務医の就労環境改善などの重要課題に対して、現行の仕組みにとらわれない効果的な方策を講じるとしている。具体策 として、医学部定員の削減を盛り込んだ1997年6月の閣議決定を見直し、早急に過去最大程度にまで増員する方針を示した。

また、消費税を含む税体系の抜本見直しに取り組み、社会保障を支える安定的な財源を確保する方向性を示したが、具体的な実施時期にまでは踏み込まなかった。

骨太方針08では、歳出・歳入改革を徹底することで、11年度に国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を確実に達成する方向性を明記。社会保障分野については、サービスの質の維持・向上を図りつつ、徹底した効率化を図る方向性を示した。

具体的には、昨年策定された「医療・介護サービスの質向上・効率化プログラム」に沿って、▽後発医薬品の使用促進 ▽検査などの適正化 ▽不正・不適切な保険請求の是正 ▽レセプトオンライン化など医療IT化の推進 ▽社会保障カード(仮称)の導入 ▽公立病院改革―などに取り組む。

一方で、産科・小児科をはじめとする医師不足の解消や、病院勤務医の就労環境改善を重点課題に位置付けた上で、これらを実現するため、女性医師の就労支援や関係職種間の役割分担の見直し、メディカルクラークの配置などを推進するとした。また、医学部定員減を決めた97年の閣議決定を見直し、「早急に過去最大程度まで増員する」と明記。さらに、今後必要な医師養成についても検討する方針を示した。

後期高齢者(長寿)医療制度については、政府・与党協議会の決定に盛り込まれた対策を実施し、低所得者の負担軽減を図る。このほか、介護・福祉サービスを支える人材を確保するため、キャリアアップの仕組みの導入などによる処遇改善を目指す。

09年度予算については、骨太方針06で示した「5年間の歳出改革の3年目に当たる」とし、最大限の歳出削減を行う方向性も示した。重要課題の実現に必要な政策経費は、「ムダ・ゼロ、政策の棚卸し等を徹底し、一般会計、特別会計の歳出経費の削減を通じて対応する」とした。

(情報元:キャリアブレイン 2008年6月27日)

http://www.cabrain.net/news/article/newsId/16842.html

〔参照HP〕

● 経済財政改革の基本方針2008(原案)はこちら

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0623/item1.pdf

● 経済財政諮問会議 「基本方針2008」に向けて  議事次第はこちら

http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0623/item0.pdf

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