ジャック・アンドレカ:前途有望な十代の科学者が、全国的に話題を集め、世界のお茶の間にすい臓がんの話題を届けています。

 

jack andrakaメリーランド州の十代の青年ジャック・アンドレイカ君はすい臓がんの早期発見ツールを研究したことで、初のインテル国際科学技術賞を含めた幾つかの素晴らしい賞を受けました。そして10月13日の日曜日、ジャックはCBSテレビの「60 Minutes」で取り上げられました。私たちパンキャンは彼のすい臓がん研究に関する進展への熱意と情熱に感激するとともに、全国的な注目の目が、最も難治な「がん」であるすい臓がんの早期診断ツールに集まったことに感謝しています。


ジャック君のオリジナルのプロジェクトは、体内を循環するすい臓がん患者の尿や血液に含まれるが他の人には含まれていない特異的なタンパク質を、特別に識別する抗体でコーティングされた小紙片の検診棒に関するものでした。60minuitesで示されたように、彼の発見はまだ初期段階のもので、実用化までにはさらに多くの年数を要します。しかし私たちはジャック君のようなアイデアが一般の早期診断で利用可能になる日が将来くることを心待ちにしています。


まさにジャック君がしめしたように、すい臓がんを全国的な問題として議論されるようにし続けましょう。以下に米国のすい臓がんの早期診断に関する科学研究の詳細を記しました。

ジャック君のすい臓がん発見テストの技術から分かることはなんでしょうか?

ジャック君がプロジェクトのために活用した検診棒の技術は、ナノチューブと呼ばれるデバイスにつけられた、特殊な抗体でコーティングされた小紙片です。抗体はすい臓がんや他のいくつかの癌患者にはあるが健康な人にはない、血液や尿と一緒に体内を循環する特異的なタンパク質を識別します。家庭の妊娠検査薬や糖尿病検査テストのように、この技術は標準的な研究室の検査より、ずっと早く安価です。ジャック君が関心をもったメソテリンと呼ばれるタンパク質のために開発した試験方法は、人間とマウスの両方の血流で極めて少量に含まれていても発見する方法として信頼性の高い、よいものであると、彼の研究により示されています。

ジャック君はまずAnirban Maitra(MBBS)の研究室、次いでジョンホプキンス大学で試験をしました。(Dr.Marita はMDアンダーソンがんセンターへ移籍しています)。Dr.Maritaはすい臓がんの研究分野では第一人者であり、2004年にパンキャンのキャリアデベロップメント賞を授与され、パンキャンのメディカルアドバイザリーボードの委員長です。ジャック君はマウスを使った試験で、すい臓がんのマウスは血中のメソテリンが他の健康なマウスより高いことを示しました。そして数人の進行性すい臓がんとそうでない患者のサンプルを試し、再びメソテリンレベルがその病気に罹患していると診断された人の方が高いことを発見しました。ジャック君の試験が正確にすい臓がんを早期発見できるか知るために、より多くのサンプルテストと実験が必要だとしても、これら事前に得られた結果は、たいへん励まされるものです。

ポジティブなアウトカムのためには、すい臓がんが外科手術可能な、早期に発見できることこそ最高の時機です。しかしながら、早期のすい臓がん患者と癌になる前の人たちの血流でどれだけの量のメソテリンが循環しているかいまだにわかっていません。

現在すい臓がんはどうやって診断されていますか?

標準なすい臓がんの診断検査法はいまだ存在しません。しかしながら、特別なタイプの超音波検査、CTスキャン、MRIといった複数の画像技術がこの病気の診断に使われています。バイオプシー(生体組織診断)とよばれる検査において、小さな腫瘍片が摂られ、顕微鏡によって確かにすい臓癌であると診断されます。

科学者達は、多くの人をスクリーニングし、画像技術によってより精密な検査を受けるべき人々を突き止める簡単な血液や尿のテストの開発に取り組んでいます。なぜなら、そういう人々はすい臓がんのかなり初期の段階だからです。これを実現するためには、すい臓がん診断のために有用な「バイオメーカー(生物指標化合物)」と呼ばれる化合物が血液や尿中にあるのを突き止める研究を多くこなさなければなりません。 科学者が直面している最大の困難は、バイオメーカーが機能するかを試験する、すい臓がんの初期段階にある人々を見つけることです。いくつもの科学者のグループが、家族性膵癌を含むすい臓がんハイリスクの個々人から、バイオメーカーのうちのどれが初期段階のすい臓がんの検知に有用か調査しています。

バイオメーカー(生物指標化合物)とはなんですか?

バイオメーカーとは、身体の中で指標となることができる物質です。バイオメーカーの量は、健康な人と病気に罹っている人の間で異なります。したがって、その病気の診断を容易にします。加えて、バイオメーカーは治療が特定の患者にとって効果がでているかどうかモニターしたり、特定な治療に対する患者の反応を予想するためにも利用されることもあります。

近年の生物医学誌の記事によると、2,000以上の研究が出版され、2,000以上の遺伝子をすい臓がんのバイオメーカーとして調査していると述べています。しかしながら、現在FDA(Food and Drug Administration, 米食品医薬品局)がすい臓がんにおいて承認しているバイオメーカーはCA19-9( serum carbohydrate antigen 19-9, 腫瘍マーカーCA19-9)だけです。それでも、大規模研究は、CA19-9の測定レベルは、ハイリスクの個人やすい臓がん患者の診断には有用とはいいきれないと示しています。そのかわり、CA19-9を出す腫瘍を持つ患者においては、レベルをモニターでき、かつ、患者の病気が治療によってその病気から回復しているかどうかを測定できます。

どうやってバイオメーカーが機能しているかどうか特定できるのですか?

FDAにすい臓がんのバイオメーカーが診断有用と認めるようにしてもらうには、厳格な試験が必要です。まず研究所の科学者達がすい臓がん患者からとれるサンプル(血液や、細胞、尿、膵液やその他)を分析し、健康な人からは出ないが、患者からでる遺伝子、タンパク質、あるいは他の指標を特定します。候補となるバイオメーカーとは、正確かつしっかりと測定できるもので、すい臓がん患者と健康な個人のサンプルの間で十分かつ明確に分泌量に差違が認められるものでなくてはなりません。ひとつの遺伝子や、タンパク質では、常に十分で正確とはいえません。現在、いくつかのテストは、 偽陰性、偽陽性の結果を減らし、テストの結果を改善させるために複数のバイオメーカーを使用しています。

次に、大規模サンプルでバイオメーカーの有効性を確認する後向き手法は不可欠なものです。「後向き」とは、科学者達が既にすい臓がんと診断と診断されている人々からサンプルを調査すると言うことです。繰り返しますが、バイオメーカーが正確かつ、常に、すい臓がんの事例とそうでない場合を計測するできることは重要なのです。

いったん、バイオメーカーが(または複数のバイオメーカーによるパネル)が後向き研究の分析で成功を収めれば、将来の展開を見据えた研究が必要になります。実行可能なバイオメーカーを考慮するために、早期あるいはすい臓のステージを正確に特定する必要があるでしょう。このタイプの研究は公式な臨床試験で行われます。臨床試験の資格がある人々は、すい臓がんハイリスクの人たちです。それらの人たちは病気が進行しているかどうかモニターされることになります。これには、すい臓がんの進行に合わせた集団をつくるために、相当多数の人々と一緒に行われることになります。したがって、数年間にわたって対象の人々はモニターを受けることになります。

これらのタイプの研究は、たいへん高額で、時間のかかるものです。 他のタイプのがんに用いられる、他のバイオメーカーが認証されている一方で、すい臓がんの分野ではいまだにすい臓がんの初期の段階にある人々を特定できるバイオメーカーを探し続けています。複数のステップで有効化を進めているバイオメーカーの研究はあります。もっとも進んでいるのは、CAPS(cancer with early stages of the disease)で、ジョンホプキンス大学で初めに着手されたものです。この研究資金の一部には、Skip Viragh氏を追悼してできた、パンキャン(すい臓がんアクションネットワーク)の研究促進ネットワーク助成金が用いられています。研究が進められたものの、バイオメーカーがCAPSですい臓がんに有効と認められてFDA(米食品医薬局)に承認されるにはさらに数年かかります。ほかのバイオメーカーもまたすい臓がんの革新的な診断方法になるよう研究が進められています。

次は?

私たちはジャック君のようなアイデアが一般に使える診断方法になる日を心待ちにしています。ジャック君のアイデアがすい臓がんに有用かどうかわかるまでには、ここまでに述べたさらなる後ろ向きテストが続いて、より大規模なサンプルを使った前向きテストが必要になるでしょう。全般的に、すい臓がんの診断の助けとなるバイオメーカーを発見する作業は複雑なプロセスです。有力なバイオマーカーを特定した後は、研究者はそれらがしっかりと、かつ明確に健康な人とすい臓がん患者を見分けられることを確実にしなくてはなりません。それから、科学者はバイオメーカーの正確性だといえるように、すい臓がんの人とそうでない人との違いが分かるように大規模サンプルを対象にテストしなくてはなりません。最後のステップは、前向き臨床試験(prospective clinical trial)という、最も困難で、残念なことに多くのバイオメーカー候補が通過できない試験です。FDAが認めた唯一のすい臓がん向けバイオメーカーであるCA19-9でさえ、初期段階のインディケーター用としては正確ではないと認可されていません。全米・世界中の優秀な科学者と医師が密接にすい臓がんの初期段階の早期発見を可能にするバイオメーカーの確立にとりくんでいます。パンキャン(すい臓がんアクションネットワーク)のゴールは、すい臓がんに取り組む本格的な科学者集団をつくることです。私たちパンキャンは若い人々がジャック君をきっかけにして、医学と薬学の世界に進むことを期待しています。ジャック君ができる限りすい臓がんを見抜くために、絶え間なく懸命に働く姿を賞賛します。

 

すい臓がんの診断に関する詳細な情報はパンキャンジャパンのPALSにお問い合わせ下さい。03-3221-1421(水曜〜金曜日、午後1時〜5時)

 

 

 

 

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