サバイバーストーリー:アクシェイ・メータ(Stage3)

患者に治療の選択肢を与える希少なALK遺伝子変異の発見

 Survivor Story Mehta

 

2017年12月6日

 

「最初の膵臓がんの症状が発生したとき、手術を行っている最中だった。」とロサンゼルスで整形外科医をしているAkshay Mehta氏は語る。「私が手術をしている最中に突然失神発作が起きました。私は血糖値が低いのだろう、多分、仕事がきつくて過労ぎみであったのか、家で幼い赤ちゃんのお世話もしていたために疲れているのだろうと思っていました。」とそのときのこと説明する。Mehta氏はすぐに血液検査を受け、その結果、重度の貧血であることが判明した。彼は病院に入院し精密検査を受けたところ、膵頭部に腫瘍があることが明らかになった。2016年4月初旬のことである。「私はショックを受けました。私の家族には膵臓がんの家族歴もなかったし、または他のがんになった家族もいませんでしたから。それに、私はまだ35歳でした」とMehta氏は語る。

 

最初の画像診断では良いニュースと悪いニュースが報告された。 Mehta氏の腫瘍は膵臓を越えて広がった転移はみられなかったが、膵臓内で局所的に進行していた。それは彼がその時点で手術適用にはならないことを意味していた。そこで、がんを縮小し手術を受けるためにMehta氏は強い化学療法を受けることにした。しかし、数回の投与後、副作用がきつく体力は弱まってきたが、がんは大幅には改善されなかった。腫瘍内科医は、米国PanCAN本部が提供している分子プロファイリング検査を受けるようMehta氏に勧めた。「あなたのがんを知ろう(Know Your Tumor®)」というPanCAN本部が運営するプレシジョンメディシン・サービスは、生検で採取したがん組織を登録することで、ゲノム解析を受けることができる膵臓がんの研究プロジェクトである。

 

すべての膵臓がんは異なるため、PanCAN本部では、最善の治療オプションを決定するために腫瘍の分子プロファイリング検査を強く推奨している。分子プロファイリング検査を受けることで、膵臓がん患者およびその腫瘍内科医は、腫瘍の特定の生物学的構成を知ることができ、また、この情報は治療の選択肢を決定するのに役立つのである。

 

Mehta氏は、彼の妻、Chaitaliと娘、Laylaと一緒に、分子プロファイリング検査結果を聞いた。「私たちは、私の腫瘍に膵臓がんにはあまり見られない、非常にまれなALK遺伝子変異があると聞いたとき、本当に驚きました。 ALK遺伝子変異の活動を効果的に阻止する、他のがん種ですでに承認されている薬剤があったことはとてもラッキーでした。」Mehta氏は「私の腫瘍はALK阻害剤に非常によく反応しました。そして腫瘍は顕著に縮小し、その結果2017年5月に膵頭十二指腸切除術を受けることができました。」と話した。

 

今日、Mehta氏は仕事にもどることができ、外科医として働いており、妻と娘と家族一同水入らずの時間を過ごしている。体力的には手術から回復中ではあるが、ALK阻害剤を服用し続けている。「私は、PanCANのKnow Your Tumor研究サービスを通して、遺伝子変異を発見できたことに本当に感謝しています」とMehta氏は付け加えた。 「それが私を手術適用にし、今日私がここにいる理由だと思う。」Mehta氏と語った。

 

 

 

編集注1:

PanCAN本部が進める最先端「Know YourTumor®プレシジョンメディシン」の研究プロジェクトでは、希望する膵がん患者に分子プロファイリング検査を提供している。分子プロファイリング検査は、患者の正常細胞が癌化する特定の変化に関する情報を提供することができる。膵臓がんの独特な遺伝子変異の特徴は、その患者に最適な治療を選択するために必要な情報を提供する。この研究に参加した患者の1人は、治療を受けているCedars-Sinai病院のAndrew Hendifar氏、MD、MPHによってPanCAN本部の「Know Your Tumor」分子プロファイリング検査への参加を勧められた。その結果、発見されたのが今回のサバイバーストーリーにでてくる Mehta氏と同じ稀な ALK融合遺伝子変異だった。

 

■現在FDAによつて承認されているALK阻害剤:

・クリゾチニブ Crizotinib (Xalkori) 2013

・セリチニブ Ceritinib (Zykadia)  2014

・アレクチニブ Alectinib (Alecensa) 2015

・ブリガチニブ Brigatinib (Alunbrig)  2017 (日本では未承認)

 

■ALK遺伝子変異検査キット

Vysis ALK Break-Apart fluorescence in situ hybridization probe kit test

 

 

編集注2:間野博行氏(国立がん研究センター研究所 所長)により肺がんのドライバー遺伝子、EML4 -ALK融合遺伝子が発見され、2007年にNature誌に発表された。Vogelstein博士により提唱されていた多段階発がんモデルとは異なり、ALK融合遺伝子というひとつの遺伝子変異がドライバーとなりがんが発症する。従って、その活動を止めることで大きな治療効果が期待できる。2011年にはALK阻害剤クリゾチニブ(一般名Crizotinib、商品名Xalkori)が発売された。この医薬品を投与されたALK変異陽性の非小細胞肺がん患者は、劇的に症状が改善する、非常に高い奏効率が確認されている。しかし、クリゾチニブの投与を続けていると次第に非小細胞肺がんに耐性ができることもわかってきた。2017年10月3日、クリゾチニブ抵抗性のALK陽性患者対象の新薬であるブリガチニブ(一般名Brigatinib、商品名Alunbrig)がFDAより承認された。

 

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<免責事項>この医療記事は、サバイバーの経験を紹介する目的で書かれています。特定の治療法や薬の使用を推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このウェブサイトの情報を利用して生じた結果についてPanCANJapanは一切責任を負うことができませんのでご了承ください。

 

 

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