braca olaparib

膵臓がんの新しい治療薬 オラパリブに関する 5つのポイント

 

著者 ジェニファー・ケネディ—

2020年1月15日

 

米国食品医薬品局(FDA)は、膵臓がん患者のグループで使用する治療薬オラパリブ(リムパーザLynparza®)を承認しました。IV期の膵臓がんがあり、生殖細胞系BRCA(ブラカ)遺伝子に突然変異のある患者で、プラチナ製剤ベースの化学療法(例:フォルフィリノックス療法で使われるオキサリプラチン)による治療後に腫瘍が進行しなかった患者に対して投与されます。

このオラパリブ(リムパーザ)による治療は膵臓がん患者のBRCA(ブラカ)遺伝子変異が陽性のグループにのみ承認されていますが、腫瘍生物学に基づいて患者を治療することの重要性を強調するエキサイティングな医薬品です。

すべての膵臓がんは異なります。すべての膵臓がん患者もそうです。腫瘍の生物学、または遺伝子構造に基づいてゲノム治療を受ける患者は、より良い結果を得ることができます。米国のNCCN膵がん診療ガイドラインで推奨されたように、米国膵臓がんアクションネットワーク:パンキャン本部(Pancreatic Cancer Action Network:PanCAN)では、すべての膵臓がん患者に対して、1.遺伝的なことを調べる生殖細胞系遺伝子検査と、2.膵臓の腫瘍細胞を検査するがん遺伝子パネル検査/分子プロファイリングの両方の検査を受けることを強く推奨しています。

この度、米国で膵臓がんに承認された重要な新薬について、患者が知っておくべき5つのことを説明します。

1.オラパリブ(リムパーザ)は経口標的療法

オラパリブ(リムパーザ)は経口療法であり、注射剤ではないので、患者は自宅で錠剤を服用できることを意味します。また、オラパリブは、分子標的治療薬の一種であり、癌細胞固有な特定の活動をブロックすることを目的とした開発された薬です。PARP阻害剤(パープそがいざい)と呼ばれています。PARP(ポリADPリボースポリメラーゼ)は、細胞がDNA損傷を修復するのを助けるタンパク質です。 PARP阻害剤はこのプロセスを修復プロセスをブロックし、DNA損傷を蓄積させます。

BRCA(ブラカ)または類似の変異を有する患者は、オラパリブなどのPARP阻害剤による治療に十分に反応する可能性があります。これらの変異は、損傷したDNAを修復する細胞の能力をすでに弱めているためです。DNA損傷が多すぎると、がん細胞は生き残れません。

2.膵臓がん患者の約4%〜7%にBRCA変異がある

オラパリブ(リムパーザ)は、生殖細胞変異と呼ばれる、生まれたBRCA(’ブラカ)変異を持つ患者に対して承認されています。資格があるかどうかを知る唯一の方法は、適切な検査を受けることです。

この承認は、患者とその腫瘍の生物学に基づいた治療の有効性を強調しています。PanCANは、すべての膵臓がん患者に対して生殖細胞検査と分子プロファイリングの両方を推奨しています。患者は、パンキャン本部が進める膵臓がん遺伝子検査に基づく臨床研究プロジェクト「ノウ・ユア・チューマー(Know YourTumor®)」というゲノム医療の研究プロジェクトに関連したサービスを通じて、両方のタイプの遺伝子検査を受けることができます。これらの検査は、開業医のいるクリニックまたは病院でも受けることができます。                           

患者がオラパリブで治療ができる遺伝子変異を持たない場合でも、この検査をやることにより、他の承認された薬物による治療、臨床試験または適応外薬を使用した治療の対象となる可能性のある他の遺伝子変異が明らかになる場合があります。 

 

3.  オラパリブ(リムパーザ)は、プラチナベースの化学療法が成功した後の治療として承認される

膵臓がん患者に対する化学療法レジメンには、薬物を組み合わせて投与するものがあります。プラチナ製剤であるオキサリプラチンは、フォルフィリノックス療法(FOLFIRINOX)として知られる標準治療で使われます。この治療には、5-フルオロウラシル/フォリン酸とイリノテカンとともにプラチナ製剤であるオキサリプラチンが使われます。膵臓がん標準治療の化学療法のすべてがプラチナ製剤を含むわけではありません。

臨床研究のエビデンスは、プラチナ(白金)製剤を含む化学療法がBRCA(ブラカ)および類似の突然変異を有する膵臓がん患者に効果的であることを示しています。 オラパリブ(リムパーザ)はこれに基づいており、これらの患者の一部には、化学療法に十分に反応した後、維持療法として、オラパリブという新しい治療の選択肢が提供されます。

患者は、維持療法のためにオラパリブ(リムパーザ)の治療を受けるためには、少なくとも16週間はプラチナベースの化学療法を最初に受け、病気が進行していない状態を保つ必要があります。

 

4. オラパリブ(リムパーザ)は、膵臓がんでの使用がFDAによって承認された最初の維持療法

維持療法の目標は、患者のがんの増殖がみられない、安定(Stable Disease:SD)したままの状態、あるいは、腫瘍の進行がない状態でいる時間(無憎悪生存期間:Progression Free Survival: PFS)を延長することです。化学療法は、長期にわたる使用を困難にする副作用を引き起こす可能性があります。そのため、化学療法で安定した状態を維持している患者が体を休めるために治療を完全に停止することは珍しくありません。

患者のがんが化学療法を行った後に安定した場合、化学療法の代わりに、または治療を完全に中止する代わりに、維持療法を使用することがあります。特に、オラパリブのような分子標的治療薬はがん細胞の特定の特徴を攻撃するため、健康な細胞を害しません。そのため、通常の化学療法などよりも副作用が少なくてすみます。オラパリブ(リムパーザ)をテストした臨床試験では、患者の腫瘍が再び進行してくるまでの期間を大幅に延長することが示されました。

 

5. オラパリブ(リムパーザ)は、膵臓がんで4年以上のブランクを経て承認された最初の薬剤

オラパリブ(リムパーザ)より前の2015年、膵臓がんに固有の薬剤として承認されたのが、オニバイド(Onivyde®でした。(編集注:2020年3月に本邦承認済)近年、臓器横断型のバスケットトライアルで膵臓がん患者を含む様々ながん患者のグループに承認された治療には、NTRK融合遺伝子変異を対象としたエントレクチニブ(ROZLYTREK®およびMSI-Hを対象としたペンブロリズマブ(Keytruda®)などがありますまた、膵腺がんではありませんが、膵神経内分泌腫瘍患者を対象としたルテチウムLuドタテート(Lutathera®本邦未承認)、NTRK融合遺伝子変異に対するラロトレクチニブ(Vitrakvi®本邦未承認)もあります。

オラパリブ(リムパーザ)のようなゲノム医療の時代にふさわしい新しい治療法は、臨床試験を経ずに膵臓がん患者に利用可能になることはありません。パンキャン膵臓がん患者の診断時およびすべての治療決定時に臨床試験を強く推奨する理由はそこにあります。じかし、日本ではそのような臨床試験が少ないため(米国142 vs 日本9)、膵臓がんの専門医が治療の選択肢のひとつとして患者に対して、米国のように参加を呼び掛けることができません。この状況を改善するためには、皆様のご支援が必要です。

膵臓がんの治療、がん遺伝子パネル検査/分子プロファイリング、遺伝子検査、臨床試験に関する詳細については、パンキャンのホームページをご覧ください。

 

www.pancan.jp

 

 

 

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