ASCOニュース:すい臓がん治療は、BRCA変異と膵臓がんの関係を解明する
ASCOニュース:すい臓がん治療は、BRCA変異と膵臓がんの関係を解明する
2019年 6月2日
今年のASCO(米国臨床腫瘍学会)において、生殖細胞系のBRCA遺伝子変異を持つ転移性膵臓がん患者が、オラパリブと呼ばれる薬剤で治療を受けると病気の進行や死亡のリスクが有意に減少したという発表がありました。ほとんどの人がBRCA遺伝子について耳にしたとき、それらの遺伝子変異 - BRCA1とBRCA2 ―が乳がんと卵巣がんの高いリスクと関連していることをすぐに思い浮かべます。卵管がん、前立腺がんおよび膵臓がんを含む、乳がんおよび卵巣がん以外のいくつかのがんがBRCA1およびBRCA2の有害な突然変異と関連していることは研究者の間では長く知られていました。今年シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)で6月1日に発表された新しい研究は、BRCA1またはBRCA2に変異を有する「転移性膵臓がん患者」のための治療法についてでした。
国内ニュース:中医協 がん遺伝子パネル検査の保険適用56万円で了承 がんゲノム医療の扉開く!
国内ニュース:中医協 がん遺伝子パネル検査の保険適用56万円で了承 がんゲノム医療の扉開く!
2019年5月30日
中医協は5月29日の総会で、がん遺伝子パネル検査2製品について56万円(5万6000点)で保険適用することを了承しました。ゲノム検査は、一度の検査で、複数の遺伝子変異を網羅的に把握できる特徴があるもので、保険適用は6月1日の予定とのことです。これまで立ち遅れていた「がんゲノム医療」が日本でもはじまる制度、医療体制がつくられてきました。
保険適用は中外製薬とシスメックス社の2製品で、Foundation One CDx(ファンデーションワン)がんゲノムプロファイル(中外製薬)、Onco Guide NCC オンコパネルシステム(シスメックス)の2製品。これらについては、詳しく説明していきます。
米国パンキャン本部では、米国で普及しているFoundationOne CDxを使用してきました。このがんゲノムパネル検査の特徴は、FDA承認された17の分子標的薬を使うために必要なコンパニオン診断がついていること、また、免疫療法に関連したマイクロサテライト不安定性(Micro-Satellite Instability:MSI)と腫瘍遺伝子変異量(Tumor Mutational Burden:TMB)も検査する点が特徴となります。ONCOGuide NCC音ぽパネルシステムは、FoundationOneCDxのように体細胞の遺伝子変異を検査しますが、同時に生殖細胞系遺伝子変異(Germline Mutation)も検査します。
資料1:がんゲノム医療に向けた取り組み、厚生労働省
海外ニュース:千葉県がんセンター「膵癌の臨床所見と遺伝子変異の多様性」
海外ニュース:千葉県がんセンター「フォルフィリノックス療法に伴う副作用を、特定の遺伝子変異から解析」
海外記事から、千葉県がんセンターの研究についてのご紹介です。近年、多くの薬剤により すい臓がん化学療法が飛躍的に前進していますが、治療とともに発生する副作用も問題になっています。2013年に保険承認されたフォルフィリノックス(FOLFIRINOX)療法ですが、これに伴う副作用について、患者のもつ遺伝子変異から、その発生、予後等を調査した結果、特定の遺伝子変異を発見したものです。
[1つの治療法がすべての人に対応することはほとんどなく、個別化医療への移行はこの事実を体現しています。]
海外ニュース:2019年度世界膵癌連合年次総会(WPCC)が開催される
2019年度世界膵癌連合年次総会(WPCC)
World Pancreatic Cancer Coalition(WPCC) Annual Meeting
会場:ビルトモアホテル、コーラルゲーブルズ、フロリダ州
期間:2019年5月7日~9日
■WPCC2019年次総会について
2019年5月7日 - 9日、フロリダ州コーラルゲーブルズで2019年の世界膵臓癌連合会議が総会が開催されました。この会議には20カ国から40以上の患者団体が参加して行われました。今年は、初めてアフリカ大陸の患者団体が参加しました。WPCCは、世界最大の膵癌患者支援団体の集まりです。
海外ニュース:全ゲノム配列検査にAIを導入し同日遺伝子診断が可能に
海外ニュース:全ゲノム配列検査にAIを導入し同日遺伝子診断が可能に
2019年5月7日
著者:フランシス・コリンズ博士
迅速な全ゲノムシーケンス検査により、医師は発作を引き起こす神経学的状態である太田原症候群の小児(セバスチアナ・マニュエル)を診断することができました。彼女のデータは、原因不明の病気で生まれた他の子供たちの診断をスピードアップするための取り組みの一部として現在使用されています。
2019年4月13日『[報告] 千葉支部 「パープルリボン医療セミナー2019」を開催しました』
『[報告] 4/13パンキャンジャパン千葉支部 「パープルリボン医療セミナー2019」を開催いたしました』
公益財団法人テルモ生命科学芸術財団「2018年度医療・健康向上貢献助成事業」
パープルリボンセミナーin千葉2019
千葉県がんセンター様との共催で、パンキャン千葉支部の初めてのセミナーを4月13日(土)、千葉県教育会館にて開催いたしました。ご参加いただきましたたくさんの皆様、ありがとうございました。
今回のセミナーは、日々前進する3大療法をはじめ、重粒子線療法、集学的治療やゲノム医療等について広い範囲について、講師の先生方が工夫を凝らしてくださり、大変わかりやすくご講演いただきました。開会挨拶をいただいました千葉県がんセンターの山口武人病院長、ご登壇いただきました先生方、司会の石井 浩先生、またボランティアで会をサポートくださいました皆様、ありがとうございました。
パンキャン千葉支部は、千葉県内で長く患者支援活動や、市・県の委員等でキャリアのある金井弘子さんが支部長で2018年に設立されました。今後もサロン・勉強会、セミナー等を進めてまいります。引き続きご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
海外ニュース:免疫療法のバイオマーカー腫瘍遺伝子変異量(TMB)の開発:クリニックへの有用性
Ann Oncol. 2019 Jan 1;30(1):44-56. doi: 10.1093/annonc/mdy495.
免疫療法のバイオマーカー腫瘍遺伝子変異量(TMB)の開発:クリニックへの有用性
著者:Chan TA Yarchoan M, Jaffee E, Swanton C, Quezada SA, Stenzinger A, Peters S.
2019年1月1日
2018年12月に承認となった遺伝子パネル検査には、FoundationOne CDxとOnco Guide NCC オンコパネルシステムの2種類がありますが、これらは免疫療法のバイオカーカーとなる腫瘍遺伝子変異量(TMB)を検査します。ここに紹介される文献は、このTMBの現状と課題について述べています。
背景:
抗プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)、抗プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)、および/または抗細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質などの薬剤による免疫チェックポイント遮断(ICB)による治療(CTLA-4)は、印象的な奏効率および永続的な疾患寛解をもたらし得るが、癌を有する患者のサブセットにおいてのみである。 PD − L1の発現は、ICBに対する応答について患者を選択する際の有用性を実証しており、そして患者選択のための重要なバイオマーカーであることが証明されている。腫瘍遺伝子変異量(TMB)は潜在的なバイオマーカーとして登場しています。ただし、解釈と文脈化の洗練が必要です。