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海外ニュース:膵臓がん研究2020年のレビュー

2020年12月30日

2020年3月、私たちが知っていた世界が変わりました。私たちの働き方、集まり方、私たち一人一人の日常生活の仕方はすべて、一夜にして、変わってしまったと感じました。

新型コロナ感染症(COVID-19)の世界的大流行は、癌の治療や研究を含むすべての人に影響を及ぼしました。 COVID-19は、治療によって免疫系の機能が損なわれているがん患者に新たなリスクをもたらし、患者とその世話をする人々を保護するために治療の提供方法を変えなければならないことがよくおこりました。 Dana-Farber Cancer Institute(マサチューセッツ州ボストン)および他の医療機関の研究者による報告によると、COVID-19はがん治療を複雑にしている一方で、臨床ケアの課題に対する創造的な解決策にも拍車をかけていることを示唆しています。さらに、新しい新型コロナ感染症の研究は、長年のがん研究で得られた洞察から恩恵を受けています。

昨年1月以降、とても困難な状況でしたが、いまでもなおそうですが、膵臓がんの医師、科学者、その他の人々は、このような状況の下で研究を継続する方法を考案してきました。多くの研究室はパンデミックの初期に一時的に閉鎖され、臨床試験は中止されるか、新しい参加者を受け入れることができませんでした。しかし現在、研究は慎重に正常化しています。研究室が再開され、社会的距離を確保するためにスタッフが研究室へ出社するタイミングをずらされていることが多く、作業をすすめることは大変ですが、それでも多くの臨床試験では患者の募集が再開されています。短期的には大規模なCOVID-19のワクチン接種が約束されており、将来は確かに少し明るくなったように見えます。

このような難しい問題に直面したにもかかわらず、膵臓がんコミュニティは、より良い治療法を見つけることを目指して、疾患をよりよく理解するための努力を止めませんでした。これは、昨年のハイライトのほんの一部の要約です。

■PanCANのKnowYourTumor®(KYT)プロジェクト
~よりパーソナライズ(個別化)された、プレシジョンメディシン(精密医療)に基づいた治療に向けて~

膵臓がんの基本的な生物学について理解を深めるにつれ、個人の腫瘍の分子構成に基づいて、パーソナライズされた精度に基づいた治療を提供することが期待されています。膵臓がんは非常に不均一です。つまり、ある人の腫瘍は別の人の腫瘍とは劇的に異なる可能性があります。2020年の初めに、PanCANのKnowYourTumor®イニシアチブ(KYT)のデータが著名なジャーナルThe LancetOncologyに掲載されました。このデータは、腫瘍の生物学的特徴に一致する治療を行うことができた膵臓がん患者(パネル検査で明らかにされた遺伝子変異にマッチした治療を受けた患者)が、そうでない患者と比較して平均1年間、生存期間が延長したこと(長生きすること)を初めて示しました。 KnowYourTumor®(KYT)レポートで見られた最も一般的な遺伝子変異は、BRCA遺伝子変異などのDNA損傷を修復する癌細胞の能力にみられる欠陥でした。オキサリプラチンやシスプラチンなどのプラチナを含む化学療法は、これらの遺伝子変異のある患者に特に効果的な治療法です。他の腫瘍の変化には、MSI-Hに対応するペンブロリズマブ(商品名キートルーダ・Keytruda)と呼ばれる免疫療法薬、NTRK融合遺伝子変異陽性に対応するラロトレクチニブ(商品名ビトラクビ・Vitrakvi)のような標的療法、または他の標準的または実験的治療オプションに対する患者の反応を予測します。

■PanCANのPrecision Promise Study
~Precision Promiseは、臨床試験プロセスの合理化を進めます~

PanCANが主導する大胆な取り組みは、Precision PromiseSMと呼ばれる新しい臨床試験で、膵臓がんの治療をダイナミックに変えることが期待されています。その目標は、臨床試験プロセスを合理化して、研究室から臨床診療(BenchToBedside)に効果的な治療をより迅速かつ効率的にもたらすことです。

この多施設共同試験は、まだ治療を受けていない、または一次治療で疾患が進行している転移性膵臓がん患者を対象としています。この試験の特徴の1つは、「アダプティブ・デザイン」です。これにより、複数の治療法を同時に試験でき、成功の確率に基づいて患者を治療群に割り当てることが可能となります。言い換えれば、この試験は進化するアウトカムに適応することを可能にしています。

<Precision Promise試験参加施設>
1.Cedars-Sinai Medical Center (Los Angeles, CA)
Principal investigator: Andrew Hendifar, MD
2.Dana-Farber/Harvard Cancer Center (Boston, MA)
Principal investigator: Brian Wolpin, MD, MPH
3.Fred Hutchinson Cancer Research Center/Seattle Cancer Care Alliance/University of Washington (Seattle, WA)
Principal investigator: Andrew Coveler, MD
4.Johns Hopkins Medicine (Baltimore, MD)
Principal Investigator: Daniel Laheru, MD
5.Memorial Sloan Kettering Cancer Center (New York City, NY)
Principal investigator: Eileen O’Reilly, MD
6.Moores Cancer Center at UC San Diego Health (San Diego, CA)
Principal investigator: Aaron Miller, MD
7.Perelman School of Medicine University of Pennsylvania (Philadelphia, PA)
Principal investigator: Gregory Beatty, MD, PhD
8.Perlmutter Cancer Center/NYU Langone Health (New York City, NY)
Principal investigator: Diane Simeone, MD
9.The University of Chicago (Chicago, IL)
Principal investigator: Hedy Kindler, MD
10.The University of Texas MD Anderson Cancer Center (Houston, TX)
Principal Investigator: Shubham Pant, MD
11.UC San Francisco Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center (San Francisco, CA)
Principal investigator: Andrew Ko, MD
12.University of Florida Health – Cancer Center (Gainesville, FL)
Principal investigator: Thomas George, MD, FACP
13.Virginia Mason Medical Center (Seattle, WA)
Principal investigator: Vincent Picozzi, MD
14.Washington University School of Medicine (St. Louis, MO)
Principal investigator: Kian-Huat Lim, MD, PhD
15.Weill Cornell Medicine (New York City, NY)
Principal investigator: Manuel Hidalgo, MD, PhD

 

■バイオマーカーの検証

NeoPancONEと呼ばれるカナダの新しい第II相試験は、術前化学療法(手術前)および術後補助化学療法(手術後)を受けた切除可能な膵臓がん患者の反応の潜在的なバイオマーカーとして、GATA6と呼ばれる小さなタンパク質の検証に焦点を当てています。 NeoPancONE試験では、術前化学療法としてmFOLFIRINOXを受けます。術後補助化学療法は、mFOLFIRINOXまたは別のレジメンのいずれかを受けます。 NeoPancONE試験の研究者は、GATA6が実際にバイオマーカーとして機能し、術前化学療法から最も恩恵を受ける患者を、そして最終的には腫瘍の種類に応じてどの薬が最も効果的かを予測できることを証明したいと考えています。

■「チャレンジ助成金」研究を前進させる

イノベーションを促進し、臨床試験で最も有望な研究を患者に迅速に提供するために、LustgartenFoundationとStandUp To Cancer(SU2C)の共同研究者であるPancreatic Cancer Collectiveは、追加の第2ラウンドの資金提供を行いました。 「新しい治療法チャレンジ助成金」の一環として、トップ研究者の4つのチームに1600万ドル(16億円)を寄付します。 2018年11月、Pancreatic Cancer Collectiveは、膵臓がんの治療の可能性のために他の用途に承認された薬剤の再利用を目的としたいくつかの研究プロジェクトを含め、13か月以上にわたって前臨床研究を遂行するためにそれぞれ最大100万ドル(1億円)を7つのチームを授与しました。 2回目の資金提供を受けた4つのチームは、最も有望な予備的結果を示しました。これにより、これらの潜在的な治療法を臨床試験に取り入れることができます。

■膵臓がんのサブタイプのより良い理解

コールドスプリングハーバーラボラトリー(ニューヨーク州コールドスプリングハーバー)の科学者は、人間の膵臓がんの2つのサブタイプを再現する最初のマウスモデルを作成しました。 Cancer Discoveryに紹介されたマウスモデル(7月にオンラインで公開され、2020年10月に印刷された)は、研究者が一部の膵臓がんが他のがんよりも攻撃的である理由とそれらを進行させる原因を調査するのに役立ち、標的療法への道を開きました。

最近、患者の腫瘍の分子的な解析を通して、非常に異なる挙動を示す2つの膵臓がんサブタイプが特定されました。古典的な膵腺がん(PDAC)として知られている最初のサブタイプは、進行が遅く、化学療法に反応する可能性があります。基礎様(basal-like)PDACとして知られる2つ目のサブタイプは、急速に広がり、通常は化学療法に反応しません。

■膵臓がんに関連する学会のバーチャル化

規模の大きな主要な学会は、科学的発見の共有において重要な役割を果たします。いくつかの迅速な計画が必要でしたが、膵臓がんに関する米国癌学会(AACR)のような主要な学会は事実上開催されました。成功した膵臓がん米国癌学会では、膵臓がんの理解と治療における新しい最先端の発見と有望な進歩の多くを紹介しました。トピックには、ゲノム医療・精密医療と早期発見などが含まれていました。その他、腫瘍の微小環境と免疫療法への影響、代謝と恒常性、新たな研究分野と臨床研究の進歩などが発表されました。

AIの現状と、早期発見を達成するために科学がどこに行く必要があるかをよりよく理解することはケナ―ファミリー研究財団(Kenner Family Research Fund)と米国膵臓学会(American Pancreatic Association)によって開催された「AIと膵臓がんの早期発見バーチャルサミット」の焦点でした。サミットでは、AIの専門家が一堂に会し、早期発見における現在の取り組みと課題について話し合いました。議論された主題分野には、早期発見、AIと機械学習の進歩、問題、展望、AIと早期発見における現在の取り組み、コラボレーションの機会、政府、業界、擁護団体からの洞察が含まれていました。サミットの目標は、これらのさまざまな専門分野を組み合わせて、AIと機械学習を使用して膵臓がんを早期に検出するためのリスク層別化モデルを開発することでした。

■ Let’sWinホームページの最新情報

Let’s Winは、ウェブサイトという仮想プラットフォームであるため、パンデミックが米国に到達したとき、最小限の変更でミッションを継続できる独自の立場にありました。革新的な科学、臨床ケアの管理、臨床試験のニュース、膵臓がんの個人的な体験談などに関するオリジナルの記事を確立されたスケジュールで引き続き公開し、膵臓がんのコミュニティをより良くサポートするために、新型コロナ感染症(COVID-19)に関する専門家からの検証済み最新情報を含む19本のオリジナルの記事を提供することができました。3月には、TwitterベースのPancChatもCOVID-19に焦点を当てました。このプラットフォームは、基本的な膵臓がんの教育、遺伝子検査、科学の見出しの解釈方法、その他の関連トピックなど、幅広く多様な聴衆に到達し続けました。コミュニティの皆様の継続的なご支援に改めて感謝申し上げます。2021年もよろしくお願いいたします。

Source: Let's Win Pancreatic Cancer Promising Science:2020 A Year in Review

 

 

 

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