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Richard Hopkins; Flickr

 

海外ニュース:特定の遺伝子変異を持つ患者のための拡張アクセス試験制度

~日本にもほしい拡張アクセス試験制度~

2020年11月6日

拡張アクセス制度下で行われる臨床試験は、他の固形腫瘍の患者と共に、進行性膵臓がん患者で特定の遺伝子変異を持つ人を助けることができる可能性があります

編集注:FDAの「思いやりのある使用(コンパショネートユース)」と呼ばれることもある拡張アクセス制度は、膵臓がんのようにすぐに生命を脅かす状態または重篤な疾患または状態の患者が、治験中の新薬を含む医療製品(薬物、生物学的、または医療機器)にアクセスすることを認める公的制度。この制度は、日本にはまだない。未承認薬を使用する際の安全性の問題、また混合診療が認められていないため、未承認薬を使用すると治療費全体が患者負担となるなどの問題があるため。解決策として、コンパッショネートユース制度で使用できる薬を、既に欧米で承認されている薬に限定することで安全性の問題を回避し、さらに一部で混合診療を認めることで患者の負担を軽減することなども提案されているが、実用化にはいたっていない。

FDAによるこの新しい制度のお陰で多くの臨床試験でテストされている新薬が、拡張アクセスプログラム下で利用できるようになりました。ここで紹介する試験は、膵臓がん、大腸がん、非小細胞肺がん、黒色腫など、特定の遺伝子変異を伴う固形腫瘍の患者を対象としています。

■腫瘍の不必要な細胞分裂を阻止

細胞分裂を調節する重要な細胞メカニズムの1つは、MAPK(マイトジェン活性化プロテインキナーゼ)シグナル伝達経路と呼ばれます。この経路に関与するタンパク質は、細胞分裂と増殖を誘導するシグナルが適切に伝達され、遺伝子が正確に活性化されることを確実にします。細胞分裂の必要がなくなると、経路がオフになり、シグナルが停止し、細胞分裂に関与する遺伝子が不活性化されます。

ただし、KRAS、NRAS、HRAS、BRAF、MEK、ERKなど、このMAPK経路の主要なタンパク質の変異は、シグナル伝達を常にアクティブに保ちます。これは、必要のない場合でも細胞分裂を誘発し、制御不能な成長を引き起こし、したがって癌を引き起こします。膵臓がんの大部分はKRASに変異があるため(膵臓がんの90%以上にKRAS遺伝子変異がみられると言われている)、MAPK経路の調節不全を起こすことがよくあります。

試験薬のウリクセルチニブ(ulixertinib:BVD-523)は、このシグナル伝達カスケードの最後にあるERKタンパク質の活性を阻害します。これにより、調節不全となったMAPK経路のシグナルが停止し、最終的には異常な細胞分裂が停止します。しかし、膵臓がんは、通常、細胞分裂を継続するために異なるメカニズムを見つけます。このがん細胞の抵抗に対処するためには、抵抗メカニズムそのものをターゲットとすることで対処できます。細胞が耐性を形成する1つの方法は、オートファジーの増加によるものです。オートファジーは、細胞が生き残るために独自の栄養素を使用する代謝プロセスです(自食)。 MAPK経路とともにオートファジーを阻害することは、がん細胞の抵抗に対抗する1つの方法です。

編集注:ウリクセルチニブ(ulixertinib)は、新しい抗がん剤として開発されているERKファミリーキナーゼ(ERK1およびERK2)のクラス初の小分子阻害剤です。 ERKキナーゼは、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達カスケード(RAS-RAF-MEK-ERK)の下流成分です。 ウリクセルチニブは、現在承認されている標的薬剤がない非定型(非V600)BRAF変化を含む、MAPK経路に変化のあるがん患者に対して有望な初期の有効性を示しています。

Figure: Ulixertinib for mBRAF colorectal cancer, mBRAF NSCLC, mBRAF Melanoma, mBRAF Solid tumors, mNRAS Melanoma, mMEK Solid tumors

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 Source: AACR-Cancer Discovery 2018

■米国FDAの拡張アクセスプログラム

コンパショネートユース制度として日本でも知られているFDAの拡張アクセスプログラムにより、製薬企業は特定の基準を満たす患者のために治験薬を医師に提供することができます。これには、膵臓がんのような生命を脅かす病気の患者で、他の治療法が役に立たないであるとか、他の臨床試験に参加できなかった患者に対して、医師は、その治験薬の利点が治験薬を服用するリスクを上回ると信じている場合は、この制度の下で行われている治験の薬剤を製薬企業に申請して患者に使うことができます。

上記のMAPKシグナル伝達カスケードに関連する特定の突然変異を有する進行がんの患者は、医師の決定に従って、治験薬ウリクセルチニブの治療を受けることができます。

自分に合った臨床試験については、医師に相談することをお勧めします。

編集注:米国のウェブサイトClinicalTrials.gov、Emerging Med Trial Finder、Pancreatic Cancer Action Network Clinical Trial Finder、また、日本の臨床研究情報ポータルサイトにアクセスすると、アクティブな膵臓がんの臨床試験のリストを確認できます。

(Source:Promising Science-Let's Win Lustgarten Foundation)

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<免責事項>この記事は、「アメリカの拡張アクセスプログラムと治験薬」を紹介する目的で書かれています。特定の治療法や薬の使用を推奨するものではありません。ご自身の病状については、担当医とよく話し合ってください。このウェブサイトの情報を利用して生じた結果についてPanCANJapanは一切責任を負うことができませんのでご了承ください。

 

 

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