NAD2021:研究者、患者の家族・遺族からのメッセージ
NAD2021:研究者、患者の家族・遺族からのメッセージ
~アクセスラグ問題の解決に向けて~
難治性がんの代表である膵臓がん患者には、がんの増殖を抑えるためにも、より奏功する治療薬が必要です。患者のがん細胞の特徴にマッチした治療薬を使うゲノム医療は、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の発表では、通常の標準治療よりも予後が大幅に改善されることがわかりました。その結果、米国の膵臓がん診療ガイドラインであるNCCNガイドラインは、2019年4月に改訂となり、膵臓がん診断時に生殖細胞系遺伝子検査(Germline Test)が全員に推奨されました。また、転移性膵臓がん患者には、診断時に「がん遺伝子パネル検査」が推奨されました。日本でも米国でも膵臓がんで承認されているゲノム医療の薬剤の数は同じですが、日本の膵臓がん患者は、その膵臓がんで承認された薬剤があるにもかかわらず、パネル検査が受けられないために使えない、アクセスできない、「アクセスラグ問題」が発生しています。
パンキャンジャパンでは、いま闘病中の患者さんを助けるために、NCCNガイドライン同様に、日本の膵臓がん患者は、遺伝子パネル検査が受けられるように厚生労働省に要望し、承認薬が使えるように現体制の整備を要望いたします。また、遺伝子変異にマッチした治療薬で他のがんで使われている薬剤(膵臓がんには適応外薬)も使えるように、受け皿試験を増やすための臨床試験体制の整備も要望したいと考えています。