BOOK:心を癒す言葉の花束

  心を癒す言葉の花束   あるときふと、深い悲しみに包まれて、だれかに何かを言ってもらいたいときがある。「気持ちがわかるわ」「そうねそうね」という言葉ではなく、ひび割れた心をほんの少しでも癒してくれるものを心からほしいと思うときがある。 著者のアルフォンス・デーケン氏は、上智大学名誉教授。死生学を専門とし30年にわたり同大学で教鞭をとった。この本は、困難に遭遇したとき、それを乗り越え、よりよく生きるための支えとなる「言葉」を8つの章「苦しみ」「光」「愛」「勇気」「受容」「死」「希望」「今を生きる」に分けてデーケン氏が選び、自分の人生に重ね合わせて解説をしている。選ばれた40の言葉にそえられた解説は四角四面でなく、ユーモアと愛情にあふれ、とても読みやすい。本書は、膵臓がんの遺族で公認心理士の池野多美子氏に推薦いただいた。 集英社新書  840円+税 アルフォンス・デーケン 著    2012年7月13日刊行                   

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BOOK:遺族外来 —大切な人を失っても

  遺族外来 —大切な人を失っても   著者は、埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科の大西秀樹 教授。2007年、日本で最初の がん患者遺族のための「遺族外来」を開設した医師である。 旅立ちという形で、病気に終わりが訪れ、遺族は同じ体験を共有する。本の冒頭で、著者は父親との死別の経験が細やかに書いている。どんなに時間が経っても、1つ1つの事柄が鮮明に記憶されているのもきっと同じなのかもしれない。著者が大切な家族をなくした経験は大きなエネルギーとなり、遺族外来を始める契機になった。 この本には遺族外来に来る方々のエピソードがつづられている。若くしてお嬢さんをがんでなくされた方、病室でいつもやさしかったご主人をノートに書き留める方、遺族になった母親を支えるお子さんなどが、静かな視点で書かれている。「患者さんは、新しい世界に適応しながら生きていくことができる」—著者のそうした思いが、タイトルの「—大切な人を失っても」に込められている。読んでいるうちに、いつの間にか背中を押されていることを感じる1冊である。   河出書房新社   1,600円+税 大西秀樹 著   2017年6月19日刊行                  

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BOOK:がん重粒子線治療のナゾ

  がん重粒子線治療のナゾ   米国のローレンス・バークレイ国立研究所で世界で最初に取り組まれた重粒子線治療は、1992年以降は同国では研究が継続せず、日本では1994年からに放射線医学総合研究所(放医研)により治療がスタートした。本書では冒頭で、米国が2015年から放医研との共同研究から再参入を決定したことが書かれている。 1994年の研究開始から現在まで、日本では良好な治療成績を上げ、その実績が確立しつつある重粒子線治療。本の帯で「患者さんに優しくて力持ち。だけど医療界の嫌われ者、なんで?」と記されているように、本書では、重粒子線治療の解説だけでなく、その歴史的な背景、世界有数の日本の先端技術への警告など、これからの可能性を含む、「重粒子線治療の裏側」も教えてくれる。 医療的な視点で書かれた解説書と併せて読むと、この治療法の理解がさらに進むと思われる1冊。 大和出版   1,600円+税 川口恭 著   2015年11月14日刊行       ■情報:併せて読みたい本 「ここまできた重粒子線がん治療」 2017年5月10日刊行              

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BOOK:がん患者のこころを救う 精神腫瘍医の現場から

がん患者のこころを救う 精神腫瘍医の現場から   著者は、埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科の大西秀樹教授。がん患者と家族の精神的なケアを専門とし、家族ケアの一環として始めた、遺族の悲しみに耳を傾ける「遺族外来」で著名な精神腫瘍医である。 「がんに、なぜ心のケアが必要なのか」。章の中で、医療が進歩しても、がんは「死」を連想させるものであり、がんになるということは、患者本人に大きな負担がかかる。また、心の状態によっては、がんだけでない、心からの影響の症状も出てくる場合がある。がんに対して、より適切な医療的措置ができるようにするためにも、心のケアの必要性について説明している。がんになり、どのような変化が起こるか、またどのように対処していくか、そして、本人だけでなく、それを支える家族の心にもついても章を分けて解説している。全編を通して、患者さんと接している目線と、寄り添うような文章でつづられており、安心した心持で読める心の本である。 河出書房新社 増補新版  1,850円+税 大西秀樹 著    2019年8月23日刊行 

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BOOK:患者・家族のための がん緩和マニュアル

患者・家族のための がん緩和マニュアル   本書は、米国国立がん研究所(NCI)が配信する「がん患者用のがん情報」の支持療法・緩和ケアについての日本語版の書物。NCIは国立衛生研究所 (NIH)の一部として、米国における抗がん剤開発に大きく関与している機関である。 構成は大きく4つ「身体的ケア」「精神的ケア」「スピリチュアルケア」「日常生活におけるケア」の分野に分けられ、全体で24の項目で解説されている。本書のよい点は、疼痛ケアだけでなく、治療開始後から発生する様々な症状や副作用等への対処をはじめ、「移行期のケア計画」「人生の最後の数日間から数時間」など、“移り変わる時期”による留意点を取り扱っていることである。また心に関わる項目も、「不安障害」「心的外傷後ストレス障害」「うつ病」「認知障害およびせん妄」「睡眠障害」など、多く取り上げている。全体で360ページ超。日本ではめずしい「がん医療における霊性」や、「喪失、悲観、死別」の項目もあり、総じて治療開始から終末期までの様々観点でまとめられた、迷ったときに役立つ1冊と思われる。 日経メディカル開発   2,300円+税    2009年6月29日刊行 米国国立癌研究所発行のPDQの日本語版のがん情報サイト (著), 財団法人先端医療振興財団 (監修, 監修, 翻訳)

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BOOK:胆道がんの治療とケアガイド

 胆道がんの治療とケアガイド   胆道がんは、アジア圏に罹患者が多いためAsian disease(アジアン・ディジーズ:アジア特有の疾病)と言われ、5年生存率も低い難治性がんの1つである。本書は、国内でがん医療を牽引する3つの大きな施設である、がん研究会有明病院と、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院が共同して執筆・編集した画期的な1冊で、刊行は2013年と少し前だが、病気について基本的なことを網羅しており、がんと告知されて病気について理解を進めたい患者さん・ご家族に良書といえる。胆道がんは、肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんの4つのがんの総称で、本書では、胆道がんの分類や診断、それぞれのがんの治療法等を丁寧に解説している。 巻末には、「副作用症状と対処方法」として、どんな薬剤の場合にどんな副作用が出やすいかが表で掲示されており、治療を進める際にも役立つ情報になっている。 金原出版   2,400円+税  2013年6月4日 がん研究会有明病院、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院 編

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BOOK:患者・市民・医療者をつなぐ 膵がん診療ガイドラインの解説 第3版

  患者・市民・医療者をつなぐ 膵がん診療ガイドラインの解説 第3版   診療ガイドラインとは、「科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文章。患者と医療者を支援する目的で作成されており、臨床現場における意思決定の際に、判断材料の一つとして利用」されるもの(日本医療機能評価機構(Minds))と定義され、医療現場で医療者に参照されているもの。 本書は、医療者向けの「膵癌診療ガイドライン」を患者・市民向けに読みやすく書き下ろしたもので、膵臓がんの病理、診断から、現在取ることができる治療方法、臨床試験等が解説されている。解説項目が前書の2016年版の33項目から、本書では77項目に増え、内容がさらに充実している。 【内容】 〈膵がん診療の流れ〉  〈総論〉  〈膵がんの診断法〉 〈切除可能膵がんについて〉  〈切除可能境界膵がんについて〉 〈局所進行膵がんについて〉  〈支持・緩和療法について〉 金原出版   2,200円+税     日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会 編 2020年 8月11日刊行   

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BOOK:よくわかるがん治療 膵臓がん・胆道がん

  よくわかるがん治療 膵臓がん・胆道がん   2020年3月に刊行された本書は、画像やグラフ、イラストを多数用い、膵臓(すいぞう)がんについてより分かりやすく書かれたもので、巻頭の「目で見る膵臓がん・胆道がん」の特集で、統計や術前化学放射線療法などの最新情報を提供している。 長年5年生存率の改善が最も求められている膵臓がんは、医療技術の進歩により早期診断が可能になり、手術不能進行がんは手術の可能性が広がっている。 確定診断までの診断法、前駆病変とされるIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)もタイプにより良性、悪性の種類があるなど、丁寧に解説されている。また、各治療法に併せ、「外科切除不能症例の支持療法」「術後再発・転移したときの手術」「高齢者への手術の可能性とリスク」等、ニーズの高い分野も取り扱われている。 病気を向き合う際に必要な情報は、最終章に「医療者とのコミュニケーション力を高める」「家族に求められる役割」「治療を選ぶためのチェックリストと手順」などにまとめられていて、参考になる。 主婦の友社   1,500円+税     神澤輝実 監修 がん・感染症センター都立駒込病院 協力 2020年 3月28日刊行   

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BOOK:IPMN国際診療ガイドライン 2017年版 日本語版

    IPMN国際診療ガイドライン 2017年版 日本語版   /> 本書は、医師向けのIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)についてのガイドラインである。 IPMNは、膵臓にできる嚢胞(のうほう)の一つで、CTやMRI等の画像診断で見つかる頻度が高い。良性から悪性まで様々な段階がありゆっくり進行するといわれるIPMNについて、その分類(分枝型、主膵管型等)、診断法、治療法、またがん化への予測や経過観察を含む、IPMNに関する最新の情報と、現在の研究に基づく推奨が提示されている。 膵臓がんについての医師向けの 「膵癌診療ガイドライン」でも、前駆病変の1つとしてIPMNが取り上げられており、医師向けの本だが、患者さんやご家族がIPMNについて理解を深めるには、参考の書の1つになると思われる。 医学書院     4,000円+税       国際膵臓学会ワーキンググループ [代表:田中雅夫] (著)   2018年2月19日刊行  ■情報:関連する本 「胆と膵 臨時増刊特大号 Vol.41 ( IPMN大全) 」 2020年12月1日刊行        https://amzn.to/2P0nQ2g      

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BOOK:変わる遺伝子医療  私のゲノムを知るとき

  変わる遺伝子医療  私のゲノムを知るとき   著者は、東京大学医科学研究所に所属し、遺伝カウンセリングと遺伝子医療の研究に携われている古川洋一教授(臨床ゲノム腫瘍学分野)。 遺伝子医療というと、DNAの構造や4つの塩基の解説から入るものが多いのだが、本書は、いくつかのがんの実例から、その病気の特徴から実際に患者さんがどのように検査、治療を選択していったかが説明されている。実例は膵臓(すいぞう)がんではないが、 どのような背景であればどう考えていけばよいかが示されていて、医療を受ける側としてわかりやすい。後段では、遺伝とは何か、遺伝子とは何か、また遺伝子解析による抗がん剤の選択やバイオマーカーにどのように関係するかが、最新情報を交え解説されている。 全編を通して、ゲノム医療を選択するかを考える人々に寄り添う内容で、一般の人が向かいやすい入門書といえる。 ポプラ社(ポプラ新書)  780円+税 古川洋一 著        2014年3月15日刊行      

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