BOOK:患者・家族のための がん緩和マニュアル

患者・家族のための がん緩和マニュアル   本書は、米国国立がん研究所(NCI)が配信する「がん患者用のがん情報」の支持療法・緩和ケアについての日本語版の書物。NCIは国立衛生研究所 (NIH)の一部として、米国における抗がん剤開発に大きく関与している機関である。 構成は大きく4つ「身体的ケア」「精神的ケア」「スピリチュアルケア」「日常生活におけるケア」の分野に分けられ、全体で24の項目で解説されている。本書のよい点は、疼痛ケアだけでなく、治療開始後から発生する様々な症状や副作用等への対処をはじめ、「移行期のケア計画」「人生の最後の数日間から数時間」など、“移り変わる時期”による留意点を取り扱っていることである。また心に関わる項目も、「不安障害」「心的外傷後ストレス障害」「うつ病」「認知障害およびせん妄」「睡眠障害」など、多く取り上げている。全体で360ページ超。日本ではめずしい「がん医療における霊性」や、「喪失、悲観、死別」の項目もあり、総じて治療開始から終末期までの様々観点でまとめられた、迷ったときに役立つ1冊と思われる。 日経メディカル開発   2,300円+税    2009年6月29日刊行 米国国立癌研究所発行のPDQの日本語版のがん情報サイト (著), 財団法人先端医療振興財団 (監修, 監修, 翻訳)

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BOOK:胆道がんの治療とケアガイド

 胆道がんの治療とケアガイド   胆道がんは、アジア圏に罹患者が多いためAsian disease(アジアン・ディジーズ:アジア特有の疾病)と言われ、5年生存率も低い難治性がんの1つである。本書は、国内でがん医療を牽引する3つの大きな施設である、がん研究会有明病院と、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院が共同して執筆・編集した画期的な1冊で、刊行は2013年と少し前だが、病気について基本的なことを網羅しており、がんと告知されて病気について理解を進めたい患者さん・ご家族に良書といえる。胆道がんは、肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆のうがん、十二指腸乳頭部がんの4つのがんの総称で、本書では、胆道がんの分類や診断、それぞれのがんの治療法等を丁寧に解説している。 巻末には、「副作用症状と対処方法」として、どんな薬剤の場合にどんな副作用が出やすいかが表で掲示されており、治療を進める際にも役立つ情報になっている。 金原出版   2,400円+税  2013年6月4日 がん研究会有明病院、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院 編

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BOOK:患者・市民・医療者をつなぐ 膵がん診療ガイドラインの解説 第3版

  患者・市民・医療者をつなぐ 膵がん診療ガイドラインの解説 第3版   診療ガイドラインとは、「科学的根拠に基づき、系統的な手法により作成された推奨を含む文章。患者と医療者を支援する目的で作成されており、臨床現場における意思決定の際に、判断材料の一つとして利用」されるもの(日本医療機能評価機構(Minds))と定義され、医療現場で医療者に参照されているもの。 本書は、医療者向けの「膵癌診療ガイドライン」を患者・市民向けに読みやすく書き下ろしたもので、膵臓がんの病理、診断から、現在取ることができる治療方法、臨床試験等が解説されている。解説項目が前書の2016年版の33項目から、本書では77項目に増え、内容がさらに充実している。 【内容】 〈膵がん診療の流れ〉  〈総論〉  〈膵がんの診断法〉 〈切除可能膵がんについて〉  〈切除可能境界膵がんについて〉 〈局所進行膵がんについて〉  〈支持・緩和療法について〉 金原出版   2,200円+税     日本膵臓学会膵癌診療ガイドライン改訂委員会 編 2020年 8月11日刊行   

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BOOK:よくわかるがん治療 膵臓がん・胆道がん

  よくわかるがん治療 膵臓がん・胆道がん   2020年3月に刊行された本書は、画像やグラフ、イラストを多数用い、膵臓(すいぞう)がんについてより分かりやすく書かれたもので、巻頭の「目で見る膵臓がん・胆道がん」の特集で、統計や術前化学放射線療法などの最新情報を提供している。 長年5年生存率の改善が最も求められている膵臓がんは、医療技術の進歩により早期診断が可能になり、手術不能進行がんは手術の可能性が広がっている。 確定診断までの診断法、前駆病変とされるIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)もタイプにより良性、悪性の種類があるなど、丁寧に解説されている。また、各治療法に併せ、「外科切除不能症例の支持療法」「術後再発・転移したときの手術」「高齢者への手術の可能性とリスク」等、ニーズの高い分野も取り扱われている。 病気を向き合う際に必要な情報は、最終章に「医療者とのコミュニケーション力を高める」「家族に求められる役割」「治療を選ぶためのチェックリストと手順」などにまとめられていて、参考になる。 主婦の友社   1,500円+税     神澤輝実 監修 がん・感染症センター都立駒込病院 協力 2020年 3月28日刊行   

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BOOK:IPMN国際診療ガイドライン 2017年版 日本語版

    IPMN国際診療ガイドライン 2017年版 日本語版   /> 本書は、医師向けのIPMN(膵管内乳頭粘液性腫瘍)についてのガイドラインである。 IPMNは、膵臓にできる嚢胞(のうほう)の一つで、CTやMRI等の画像診断で見つかる頻度が高い。良性から悪性まで様々な段階がありゆっくり進行するといわれるIPMNについて、その分類(分枝型、主膵管型等)、診断法、治療法、またがん化への予測や経過観察を含む、IPMNに関する最新の情報と、現在の研究に基づく推奨が提示されている。 膵臓がんについての医師向けの 「膵癌診療ガイドライン」でも、前駆病変の1つとしてIPMNが取り上げられており、医師向けの本だが、患者さんやご家族がIPMNについて理解を深めるには、参考の書の1つになると思われる。 医学書院     4,000円+税       国際膵臓学会ワーキンググループ [代表:田中雅夫] (著)   2018年2月19日刊行  ■情報:関連する本 「胆と膵 臨時増刊特大号 Vol.41 ( IPMN大全) 」 2020年12月1日刊行        https://amzn.to/2P0nQ2g      

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BOOK:変わる遺伝子医療  私のゲノムを知るとき

  変わる遺伝子医療  私のゲノムを知るとき   著者は、東京大学医科学研究所に所属し、遺伝カウンセリングと遺伝子医療の研究に携われている古川洋一教授(臨床ゲノム腫瘍学分野)。 遺伝子医療というと、DNAの構造や4つの塩基の解説から入るものが多いのだが、本書は、いくつかのがんの実例から、その病気の特徴から実際に患者さんがどのように検査、治療を選択していったかが説明されている。実例は膵臓(すいぞう)がんではないが、 どのような背景であればどう考えていけばよいかが示されていて、医療を受ける側としてわかりやすい。後段では、遺伝とは何か、遺伝子とは何か、また遺伝子解析による抗がん剤の選択やバイオマーカーにどのように関係するかが、最新情報を交え解説されている。 全編を通して、ゲノム医療を選択するかを考える人々に寄り添う内容で、一般の人が向かいやすい入門書といえる。 ポプラ社(ポプラ新書)  780円+税 古川洋一 著        2014年3月15日刊行      

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BOOK:がんになったら知っておきたいお金の話

    がんになったら知っておきたいお金の話 ~看護師FPが授ける家計、制度、就労の知恵~   著者は、看護師経験者でもあり、現在ファイナンシャル・プランナー(FP)で活動する黒田ちはる氏。がんになると、患者さんやご家族は、これからの治療と併せ、お金についても考えていくことになるが、患者さんがサラリーマンなのか、自営業なのか等、どのような状況かによっても、選択できる方法が異なってくる。本書の特徴は、各章を「自営業(個人事業主)」「働き盛りの会社員」「60代前半」「専業主婦」「つらくて退職を検討しているケース」など、患者がおかれている状況による治療生活の家系の考え方を解説している。加入している健康保険によってがん治療が変わるため、自分がどの方法がとれるのかを知っておくのに活用できる。現在、がんとお金について さまざまな本が出ており、かかる医療費をはじめ、「高額治療費」「傷病手当金」などの社会保障のカテゴリで解説したものが多いので、そうした本と併せて読むと、よりお金について理解が深まりそうだ。 日経メディカル開発  1,500円+税 黒田ちはる 著    2019年1月28日刊行    ■情報:関連して読みたいホームページ 国立がんセンター がん情報サービス「お金と健康保険」 https://ganjoho.jp/public/support/work/qa/all/qa04.html  

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BOOK:がんとこころのケア

 がんとこころのケア   著者は、名古屋市立大学大学院 医学研究科精神・認知・行動医学分野の明智龍男教授。本書は2003年刊行の本だが、全がんの5年生存率が60%を超えた現在に比べ、はるかに生存率が低く、生命を脅かす病だった時期に書かれた、がんと心に向き合う本の1つである。 サイコオンコロジー(精神腫瘍学)は、「心」の研究をおこなう精神医学と、「がん」の研究をおこなう腫瘍学を組み合わせた造語で、1980年代に確立した新しい分野である。著者はがん医療における「心」を扱う専門家として、がんの患者さんの心理状態や心の変遷やどのようなアプローチが可能なのかを、落ち着いた寄り添う言葉で解説している。本書は大きく2つに構成され、1部は、がんと心の関係についてそれまでの研究結果を基に解説され、2部は、患者さんや家族に役立つ知識が紹介されている。how to(どうすればいいか)で端的な対処法を求める方には向かない本かもしれないが、がんという大きなストレスとなる事実を受け止めながら紹介されている様々な処方箋は読む方の参考になると思われる。 NHK BOOKS(日本放送出版協会)  970円+税 明智龍男 著    2003年7月13日刊行    

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BOOK:うまく続ける! 消化器がん 薬物療法の基本とコツ

  うまく続ける! 消化器がん薬物療法の基本とコツ 〜1stライン、2ndラインのレジメン選択と休薬・減量、副作用対策のポイント~   本書は医療者向けの本で、医師が患者の状況に合わせてどのように治療法を考えていけばよいかが書かれている。2016年刊行なので、それ以降に承認された新しい薬については書かれていない点には留意したい。消化器系のがんの薬物療法についてまとめられており、膵臓がんは「4章の胆膵がん」で、「①切除不能進行・再発膵がんに対する薬物療法」「②膵がんに対する術後補助化学療法の選択」「⑤知っておくべき副作用対策」について、FOLFIRINOOX(フォルフィリノックス療法)、GEM+nab-PTX(ジェムザール+アブラキサン療法)など、それぞれに対応可能な治療法が簡潔に解説されている。また、「7章の臨床力を鍛えるCase Study」では、高齢者に対する薬物療法や腹水、局所進行膵がんに対する化学療法、化学薬物療法なども触れられている。治療の投与量、スケジュール、検査の数値の見方や数値が悪化した際の考え方などが記載されており、治療を受ける側が知っていると、自分の状況が受け止めやすいかもしれない。全体で270ページ超の本だが、膵臓がんに関する箇所はその一部であることを追記する。 羊土社     5,000円+税 加藤健、森実千種 編   2016年4月23日刊行      

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AACRニュース:オリゴ転移がんと治療法について

iCancerToday oligomet

がんの広がりが限られているオリゴ転移がんと治療法について

オリゴ転移がんと呼ばれる少数の部位にのみ拡がる種類のがんのある人は、積極的な局所治療により恩恵を受ける可能性あり

著者 ケイト・ヤンデル

 

エルピダ・アルゲンツィアーノさんは、2015年にステージIIホルモン受容体陽性乳がんと診断されたとき、40歳でした。彼女は二重乳房切除術を受けましたが、化学療法と放射線療法を開始する前に、スキャンにより彼女の骨盤の骨に転移が1つあることが明らかになりました。

アルゲンツィアーノさんの最初の腫瘍内科医は、癌は転移性なので根治は難しいが治療可能であると彼女に伝えました。 「残念ながら、あなたはステージIVの乳がんを患っています。それは転移性です」とニューヨーク州ガーデンシティに夫と3人の子供(現在16、11、8歳)と一緒に住むアルゲンツィアーノさんは、医師からそう説明されたと言います。

しかし、アルゲンツィアーノさんがセカンドオピニオンを得たとき、今度の腫瘍内科医は新しい用語を使いました。 「あなたは非常にユニークなケースです。あなたの癌はオリゴ転移性です」と言われたことを覚えています。「体中に広く広がる転移性がんとは異なり、オリゴ転移性がんは体のほんの少しの部位にだけ広がります」とその医師は彼女に説明しました。

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