ASCOニュース:若年層の膵臓がん発症増加は早期内分泌がんの過剰診断が原因か

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

ASCO2023

ASCOニュース:若年層の膵臓がん発症増加は早期内分泌がんの過剰診断が原因か

著者 ジョー・カヴァロ

投稿日:2024年11月18日

15~39歳の若年層における膵臓がんのデータに関する最近の分析により、発症率は増加しているものの死亡率は安定していることが明らかになった。Annals of Internal Medicine誌に研究結果を発表したパテル氏らによると、発生率の上昇は主に、膵臓がんのなかでもより小さく早期の内分泌がんの発見が増えたことによるもので、膵管腺がん(Pancreatic Ductal Adenocarcinoma:PDAC)の増加によるものではない。研究者は、この発見は、がん発生率の真の増加というよりも、これまで発見できなかった病気の発見を反映していると説明している。

世界的に見ると、膵臓がんはがん関連死因の第3位となっており、罹患率は増加傾向にある。膵臓がんの大部分(95%以上)は膵管腺がんであり、過去の研究では、若い成人では、膵管腺がんの罹患率は若い女性で増加しているものの、男性では安定していることが示されている。

編集注:膵管腺癌(PDAC)は膵臓がんの中で最も一般的なタイプであり、全膵臓がんの約95%を占めています。PDACは膵臓内の消化酵素を小腸に運ぶ管(膵管)の細胞で発生する悪性腫瘍です。

(more…)

Continue ReadingASCOニュース:若年層の膵臓がん発症増加は早期内分泌がんの過剰診断が原因か

海外ニュース:第5回RASイニシアチブ・シンポジウムからの報告(10月8日~10日)

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

KRAS Symposium KRAS kickers

PanCAN最高科学責任者アンナ・バーケンブライト医師(左)と患者団体KRASキッカーズ創設者テリー・コノラン氏

 

海外ニュース:第5回RASイニシアチブ・シンポジウムについて

著者 アリスン・ローゼンツヴァイク

2024年11月11日

 

何十年もの間、がん研究コミュニティが直面する最大の課題のひとつは、ヒトのがんにおいて最も一般的な癌遺伝子であるRASを治療の標的とすることでした。 癌遺伝子とは、通常は健康な細胞に存在するタンパク質をコードする遺伝子であり、突然変異やその他の変化が生じると、細胞が癌化する原因となります。固形腫瘍の約30%がRAS変異を発現しており、膵臓腫瘍の95%は、KRASとして知られる特定のRAS変異によって引き起こされていると考えられています。

40年以上前に発見された後、RASは「治療不可能」と考えられてきました。なぜなら、研究者はタンパク質の構造を破壊する方法や、変異型を選択的に攻撃する方法を見つけ出すことができなかったからです。

しかしここ数年で、状況は大きく変わりました。

今年、PanCAN最高科学・医療責任者のアンナ・バーケンブライト医師(MD、MMSc)は、米国国立がん研究所(NCI)RASイニシアティブが主催する第5回RASイニシアティブシンポジウム(10月8日~10日、メリーランド州フレデリック)に出席しました。RASを標的とする試みが長年成功しなかった後、現在では、RASを標的とする多くの治験薬が前臨床および臨床開発段階にあります。また、肺がん患者におけるKRAS G12Cとして知られる特定のKRAS変異サブセットを標的とするFDA承認薬は2種類あります。

「このような権威ある会議に出席し、PanCANの資金援助について言及したスライドやポスター発表を見るのは、私にとって非常に刺激的です」とバーケンブライト博士は語りました。「PanCANが研究および臨床分野に与えた影響は計り知れません。そして、効果的なRAS標的療法の開発を阻む障壁を克服し始めた今、私たちは転換期を迎えているのです。

 

(more…)

Continue Reading海外ニュース:第5回RASイニシアチブ・シンポジウムからの報告(10月8日~10日)

海外ニュース:有望な悪液質研究

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

Letswin Zeemers Chachexia

海外ニュース:有望な悪液質研究

2024年11月7日

著者 テレサ・ジマーズ(悪液質の研究者)

悪液質と呼ばれる筋肉消耗症は、進行したがん患者の約80%に発症します。特に膵臓がんや肺がん患者に多く見られます。 悪液質ががんによる死亡の約30%の原因となっているという推定もありますが、その主な理由は、極度の筋肉減少による心臓や呼吸器系の障害です。

悪液質は患者にとって非常に深刻な問題であり、疲労が蓄積し、買い物やシャワーを浴びるといった簡単な作業さえも困難になることがあります。 患者とその家族にとって特に辛いのは、悪液質によって引き起こされる代謝や免疫システムの数々の変化が、患者の腫瘍をさらに進行させ、身体をむしばんでしまうことです。 これにより、外見が劇的に変化し、すでに乗り越えられないように見える肉体的負担に、さらに深刻な精神的負担が加わります。

長年、悪液質はあまり注目されてきませんでした。しかし、世界中の研究者が、悪液質を逆転させ、あるいは食い止めるために利用できるターゲットを見つけることを期待して、この病気に伴う複雑な生物学の理解を深めようとし始めています。オレゴン健康科学大学およびナイトがん研究所(いずれもポートランド)の細胞・発生・がん生物学教授であるテレサ・ジマーズ博士は、「私たちの研究室で目指しているのは、患者のケアの水準を向上させることです」と語ります。「現在、悪液質に対する関心は非常に高く、かつてはがんや慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全などの恐ろしい副作用としか考えられていなかったものから患者を救うことに、研究の焦点がすべて当てられています。以前は、それに対してできることはあまりないと考えられていましたが、今では悪液質の根本的なメカニズムを本当に理解し始めています。そして、そこから治療法が開発されるのです。私は将来に希望を持っています。

(more…)

Continue Reading海外ニュース:有望な悪液質研究

海外ニュース:KRAS阻害剤を化学療法と併用することで、治療効果を高めることができるか?

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

NCI logo

海外ニュース:KRAS阻害剤を化学療法と併用することで、治療効果を高めることができるか?

2024年8月20日、

シャロン・レイノルズ 著

 

■概要

2つの研究結果から、化学療法をKRAS阻害剤と併用することで、膵臓がん患者に対するこれらの標的療法がより効果的になる可能性があることが示唆されています。

膵臓がんを標的とする新しいクラスの薬剤は、従来から使用されている化学療法という治療法から助けを得られるかもしれません。マウスを対象とした2つの新しい研究では、実験用KRAS阻害剤MRTX1133に化学療法を追加することで、いずれかの治療法のみの場合と比較して、腫瘍の成長と拡散が大幅に減少することが示されました。

この強力な効果は、化学療法とKRAS阻害剤がそれぞれ、膵臓がんにおけるがん細胞の成長を促進する細胞の指示を異なるセットで停止させるためであることが、両方の研究で明らかになりました。両試験の結果は、6月28日付の「Cancer Discovery」誌に掲載されました。

(more…)

Continue Reading海外ニュース:KRAS阻害剤を化学療法と併用することで、治療効果を高めることができるか?

海外ニュース:消化管神経内分泌腫瘍に対するAlphaMedixTMがFDAの画期的治療薬指定を受ける

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

海外ニュース:消化管神経内分泌腫瘍に対するAlphaMedixTMがFDAの画期的治療薬指定を受ける

2024年2月12日

放射性医薬品企業であるラジオメディクス社(RadioMedix, Inc.)とオラノメッド社(Orano Med)は本日、米国食品医薬品局(FDA)がAlphaMedixTM(212Pb-DOTAM)が切除不能または転移性消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NETs)の成人患者を対象とし、画期的治療薬指定を受けたと発表しました。

AlphaMedixTMは、ペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)未経験者に対する治療薬として、 現在第2相臨床開発段階にある標的アルファ線療法であり、生体内でアルファ粒子を発生させる鉛-212(212Pb)で放射線標識されたSSTR標的ペプチド複合体で構成されています。アルファ線放出核種は、その高いエネルギーと短い飛程により、周囲の健康な組織への毒性を最小限に抑えながら、個々の癌細胞を正確に標的として殺傷することができます。 AlphaMedixTMは、画期的治療薬指定を受けた初の標的アルファ線療法です。

(more…)

Continue Reading海外ニュース:消化管神経内分泌腫瘍に対するAlphaMedixTMがFDAの画期的治療薬指定を受ける

ASCOニュース:進行性腎細胞がん・膵神経内分泌腫瘍に対するベルツキシファンとエベロリムスの比較

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

ASCO2023

ASCOニュース:進行性腎細胞がん・膵神経内分泌腫瘍に対するベルツキシファンとエベロリムスの比較

著者 マシュー・ステンガー 

2024年9月4日

シュエイリ氏らによるThe New England Journal of Medicine誌への報告によると、第III相LITESPARK-005試験において、進行性透明細胞型腎細胞がんの治療歴のある患者を対象に、低酸素誘導因子-2α阻害薬ベルツチファンとエベロリムスを比較したところ、無増悪生存期間の改善が示されました。

試験の詳細
この非盲検試験では、2020年3月から2022年1月の間に、6つの地域から集められた免疫チェックポイント阻害薬(ICI)療法および抗血管新生療法を受けたことのある746人の患者が、進行または容認できない毒性が出るまで、ベルツキシファン120mg(n = 374)またはエベロリムス10mg(n =372)を1日1回投与する群に無作為に割り付けられました。主要評価項目は無増悪生存期間および全生存期間でした。

(more…)

Continue ReadingASCOニュース:進行性腎細胞がん・膵神経内分泌腫瘍に対するベルツキシファンとエベロリムスの比較

AACRニュース:AACR特別会議「膵臓がん研究の進歩」

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

AACR Pancreatic Cancer Sp Conference 2024 Boston

AACRニュース:AACR特別会議「膵臓がん研究の進歩」

2024年10月1日

著者:キラン・フォスター

診断から5年後の生存率が13パーセント前後にとどまっている膵臓がんの現状では、革新的で効果的な膵臓がん治療の必要性は依然として非常に高い状態です。

朗報としては、最近開催されたAACRの特別会議で、膵臓がんのより深い理解だけでなく、より効果的な治療法を見出すための世界的な取り組みが進行中であることが示されました。

2024年のAACR特別会議「がん研究: 膵臓がん研究の進歩」と題されたこの会議には、600人以上の専門家が参加しました。これは、これまでの参加人数としては最大であり、また、疾患に特化したAACR特別会議としては最大規模のものです。 250件以上のポスター発表と51件の口頭発表では、悪液質、免疫学および免疫療法、腫瘍微小環境など、さまざまなトピックが取り上げられました。 今年の会議では臨床に重点が置かれ、研究がどのように患者ケアに結びつくかが示されました。

ラボで行われている新しい研究は数多く、臨床現場にも導入されつつあります。 治療に対する個別的なアプローチはこれまで以上に身近なものとなりつつあり、これは会議全体を通しての主要テーマでした。 例年通り、レッツウィンではいくつかのプレゼンテーションの概要をお届けします。また、今後数か月の間に、AACRのさらなる調査結果をより詳しくお伝えする予定です。

(more…)

Continue ReadingAACRニュース:AACR特別会議「膵臓がん研究の進歩」

海外ニュース:MEK阻害剤の薬剤耐性を克服する新たなアプローチ

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

Letswin Dr Siolas

海外ニュース:MEK阻害剤の薬剤耐性を克服する新たなアプローチ

2024年10月17日

著者:デスピナ・シオラス博士

・Avutometinib(RAF/MEK阻害剤)
・Defactinib(FAK阻害剤)

標的とすることが難しい KRAS タンパク質(膵臓がんの 90% 以上に見られる)に影響を与えることを目指し、研究者たちはMEK1 および MEK2 と呼ばれる KRAS シグナル伝達に関連するタンパク質に狙いを定めました。

MEK阻害剤であるビニメチニブやトラメチニブの開発は、標的療法の武器として大いに歓迎され、BRAF変異型黒色腫やKRAS/BRAF変異型大腸がんの治療に有望であることが示されました。しかし、がんは生き残るために次々と回避策を見つけ出します。科学者たちはすぐに、RAS経路の単一ノードを遮断するだけでは多くの患者には不十分であることに気づきました。

腫瘍細胞は別の場所で経路を再活性化したり、並列経路を活性化したりすることで反応したのです。このような難題を克服するために、Verastem Oncology(本社ボストン)の科学者たちはRASシグナル伝達ネットワークを制御する他の方法を検討しました。彼らは、RAFとMEKの両方を阻害する錠剤アブトメチ二ブ(avutometinib)と、選択的FAK阻害剤であるデファクチ二ブ(defactinib)を開発しました。

これらを併用することで、FAK経路の並行シグナル伝達を防止しながら、RAS経路の阻害を最大限に高めることができます。 つまり、この薬剤は、がんが必要とするタンパク質を標的とし、耐性克服にも役立つのです。(編集注:アブトメチ二ブは中外製薬株式会社が創製し、Verastem Oncology社が開発中の薬剤です。KRAS変異陽性の卵巣がんに対するavutometinib、およびdefactinibのFDA新薬承認申請が提出されたという記事が11月1日付で中外製薬のHPに掲載されています https://www.chugai-pharm.co.jp/news/detail/20241101160000_1440.html

初期の研究では有望な結果が示され、現在、この薬剤は膵臓がんの標準治療であるゲムシタビンおよびナブパクリタキセルの化学療法と併用して試験されています。

(more…)

Continue Reading海外ニュース:MEK阻害剤の薬剤耐性を克服する新たなアプローチ

ASCOニュース:特定のKRAS遺伝子変異が膵臓がんの予後改善と関連

  • Post author:
  • Post category:News
  • Post comments:0 Comments

asco2019wide

ASCOニュース:特定のKRAS遺伝子変異が膵臓がんの予後改善と関連

著者:ASCO POST Staff

2024年10月3日

・KRAS G12D 侵攻性のがんと最悪の転帰に関連している可能性

・KRAS G12R より良好な全生存期間に関連している可能性(G12Rは膵臓がんでのみ発生)

・KRAS G12V より良好な全生存期間に関連している可能性

 

KRAS 遺伝子における一般的な変異は、他の変異と比較して膵管腺がん患者の全生存期間の改善と関連しているようです。その理由の一部として、この変異は侵襲性と生物学的活性の低下につながる可能性があることが、Cancer Cell誌に発表された最近の研究で示唆されています。

この研究では、膵管腺がん患者の約95%に発生するKRAS変異は、KRAS G12R、KRAS G12D、KRAS G12Vなど、さまざまな種類があることが示されています。 これらの変異は、患者の予後について医師に貴重な情報を提供する可能性があります。

「これらの変異には大きな違いがあることが分かりました」と、本研究の上席著者であるロヒト・チャンドワ二(Rohit Chandwani)MD、PhD(外科および細胞・発生生物学部門助教授、およびWeill Cornell Medicineの癌研究におけるMildred L. and John F. Rasweiler研究奨学生)は述べました。この情報に基づき、「臨床ガイドラインを改訂し、すべでの膵臓癌患者に対して定期的な分子検査を推奨すべきである」と助言しています。

現行のNCCN臨床腫瘍学ガイドライン®では、後期の局所進行性または転移性膵臓がん患者には分子プロファイリングを推奨していますが、膵臓に限局した早期がん患者には推奨していません。

ニューヨーク・プレスビテリアン/Weill Cornell 医療センターの外科腫瘍医でもあるチャンドワ二博士は、変異が膵臓腫瘍の挙動にどのように影響するかを理解することが、将来的に治療方針の決定に役立つ可能性があると述べています。

(more…)

Continue ReadingASCOニュース:特定のKRAS遺伝子変異が膵臓がんの予後改善と関連

AACRニュース:ワクチンが膵臓がんの治療に活路を開く

CancerToday202410

Photo by ©AACR/Scott Morgan

AACRニュース:ワクチンが膵臓がんの治療に活路を開く

科学者たちは、膵臓がんは免疫療法に反応しないと考えていました。しかし、現在ではワクチンが免疫システムを刺激して病気に立ち向かわせることが研究で明らかになっています。

トーマス・セローナ著
2024年4月26日

ニューヨーク市のメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターの外科腫瘍医であるヴィノッド・バラチャンダン医師は、4月7日にサンディエゴで開催された米国がん研究会議(AACR)の年次総会で、膵臓がんを対象とした個別化mRNAワクチンを試験した第I相臨床試験の結果について発表しました。

免疫療法において、腫瘍は「ホット」または「コールド」と考えることができます。「ホット」とは、腫瘍内に免疫細胞の存在を示す証拠があることを意味し、免疫療法がこの初期反応を増強できる可能性を示唆しています。一方、「コールド」とは、がんが免疫反応を促さないことを意味し、免疫療法の効果はほとんど期待できないことを示しています。膵臓がんは長い間「コールド腫瘍」と考えられており、科学者たちはワクチンがこの疾患の転帰に影響を与える可能性を疑ってきました。しかし、新たな研究により、この長年の考えは否定されつつあります。

(more…)

Continue ReadingAACRニュース:ワクチンが膵臓がんの治療に活路を開く