家族性膵癌登録制度がスタートすい臓がんの予防、早期発見、早期治療をめざして すい臓がんの予防、早期発見、早期治療をめざして 特定非営利活動法人パンキャンジャパン(東京都千代田 事務局長・理事:眞島喜幸、以下、パンキャンジャパン)は、2009年以来膵(すい)臓がんの早期発見、早期診断、早期治療の重要性を訴える医療セミナー「パープルリボンキャラバン ~ 膵臓がんに光をあてる ~」を全国で開催してきました。 厚生労働省の人口動態調査※によると2011 年の日本における膵臓がんによる死亡数は29,017人で、男性14,092人、女性13,448人となっています。がんの死因別では男第5位、女第4位で、食生活の欧米化、喫煙、糖尿病、慢性膵炎、家族歴などの膵臓がんの危険因子などとも関連し、年々増加傾向にあります。また、膵臓がんは早期発見が非常に困難な上に進行が早く、きわめて予後の悪い疾患です。(※厚生労働省 平成22年人口動態統計の年間推計) 危険因子のひとつが家族歴ですが、最近家族性乳癌患者の予防的全摘が世界のニュースに登場しました。家族性乳癌、家族性卵巣癌とならんで家族性膵癌も同じような遺伝子変異が関係していることがわかってきました。米国では、ジョンズホプキンス大学を中心に1996年から全国家族性膵癌登録(NFPTR)が実施されており、2012年3月までに4,322家族が登録されています。また、家族歴のある方の最適な経過観察法に関する前向き研究(PanSCAN)も進んでいます。海外ではハイリスクな方を対象とした研究活動が盛んですが、日本では予防に関するがん研究が進んでいないことから、いまだに家族歴のあるハイリスクな方々を守るすべがありません。 昨年、国際膵癌シンポジウムが京都で開催され、はじめて日本における家族性膵癌登録制度についての説明があり、その後、日本膵臓学会が主体となり家族性膵癌登録制度を構築するとの発表がありました。今年7月末に開催されます第44回日本膵臓学会大会において、そのキックオフが行われました。 米パンキャン本部代表のジュリーフレッシュマン氏は「膵臓がんは早期発見が難しいがんのひとつです。しかし、医学の進歩により、小さながんでも見つけることができるようになってきました。日本で家族性膵臓がん登録制度ができることは大変喜ばしいことです。定期的に検査を受けることで、早期発見が可能となり、生存率向上につながることを期待します」と述べました。 日本の家族性膵癌登録制度について、日本膵臓学会家族性膵癌登録制度の責任者、京都大学肝胆膵外科准教授の高折恭一先生にお話いただきます。また、家族性膵癌患者、家族性膵癌患者遺族から家族性膵癌の体験談についてお話いただきます。 京都大学肝胆膵外科准教授:高折恭一先生 「家族性膵癌」は、親子または兄弟姉妹に2人以上の膵癌患者さんのいる家系の方に発症する膵癌です。膵癌の5~10%が家族性膵癌で、家族性膵癌家系の方は一般の方よりも膵癌になるリスクが高いとされています。日本膵臓学会は、家族性膵癌家系の方を対象として、登録制度を始めることを決定しました。登録作業は、登録実施施設での倫理委員会の承認を受けてから開始されます。倫理委員会での承認作業には通常数ヶ月以上を要しますので、開始時期は今のところ未定ですが、平成25年12月ころには開始時期をご案内したいと考えています。登録施設は、当初は全国に10施設程度の予定ですが、徐々に登録施設を増やしていきます。登録施設についても、倫理委員会の承認を待って、あらためてご案内いたします。原則として、親子・兄弟姉妹に膵癌の確定診断(手術・生検による膵癌の組織診断)を受けた方があれば、登録の対象となりますが、詳しくは実際の登録の際にご案内いたします。登録は無料ですが、診察・検査・カウンセリングには、各医療施設で定められた費用が発生します。また、登録は、集団を対象とした研究(疫学研究)を目的としていますので、登録された皆様に診察・検査等の診療行為を行うものではありません。診察・検査・カウンセリングについては、かかりつけの医師にご相談ください。また、家族性膵癌登録制度について、現時点では個別のご案内はできませんので、ご了承ください。膵癌は、治療が難しいがんですが、家族性登録制度を利用して、早期診断と新しい治療法の開発に取り組んでいきたいと思います。登録が始まりましたら、皆様のご協力を何卒よろしくお願い申し上げます。日本膵臓学会家族性膵癌レジストリ委員会委員長 高折恭一 日本膵臓学会インフォメーション(7月20日)より 家族性膵がん患者からの体験談:石森恵美さん 私の家族の膵臓癌石森恵美 私は平成22年5月に、主人が膵臓癌であること、それもステージⅣbで、 手術不可能との告知を受けました。 そしてその1週間後に、主人の姉(私にとっては義姉)も同じように、膵臓癌であることの告知を受けました。姉は、腎臓病を患っており、透析患者、障碍者1級です。 当時、膵臓癌における抗がん剤は、2剤しか認可されておらず、 手術のできない主人は、医者からの指示に従うしかなく、2剤のうちの1剤を使い、効果も実感できないまま、5か月後に亡くなりました。 その間、普通の生活ができたのはわずか3週間。満足な食事もできないまま、20キロ以上も痩せて、意識が混濁したまま亡くなりました。 私たち夫婦には、2人の息子がおり、当時は中学3年と1年でした。 そして、主人が亡くなって半年後、義姉も主人と同じように苦しんで、亡くなりました。 認知症が進んでいた姑の体調がすぐれず、精密検査を受けたところ、やはり末期の膵臓癌だとわかり、息を引き取ったのは、義姉が亡くなってから丁度1年後のことでした。 私は、次々と告知される家族の癌に向き合うことに精一杯で、遺伝のこと 家族性癌のことなど、全く考えもしませんでした。 ただ、姑が亡くなった時に(主人と義姉は公立病院、姑は開業医)お世話になったお医者さんから、同じ時期に家族のなかで3人が膵臓癌というのは…